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愛媛 萬翠荘訪問記 迎賓館用途の見学は身分制度背景を意識して往時に浸る 別方向のイメージとなる2つの映画の舞台(2022年10月情報)

萬翠荘とは?

萬翠荘は、1922年、ちょうど100年前に急松山藩主の子孫久松伯爵が別荘として建設し、迎賓館として使われた別邸です。

日本人が設計した日本人の所有する洋館というのは当時非常に希少なものでした。

戦後は、公共の所有物となったのち、現在は一般公開されています。

萬翠荘外観

萬翠荘の場所は?

愛媛県の松山市、松山空港から8Kmほどの距離の松山城至近の場所となります。公共交通機関で行く場合は、伊予鉄道城南線大街道駅が最寄りとなります。

迎賓館用途であった萬翠荘1F

萬翠荘の入館はパンフレットには費用が書かれていませんでしたが、2022年10月に訪問した際は300円でした。

萬翠荘のエントランス

エントランスホール

入館料をお支払いして入るとエントランスには大階段。

エントランスホール大階段

その奥には大きなステンドグラスがあります。

ステンドグラス

1F 謁見の間

ゲストルームとお隣の晩餐の間はこの日ステンドグラスの展示会中で人が多く全景が撮れていませんが、見どころをご紹介します。

このゲストルームは当時昭和天皇をお迎えする目的を主として作られたため、非常に豪奢。

暖炉は100年前にも関わらず、ガスが使われています。しかもプロパンガスではなく、この館のためだけに引かせた都市ガスだとか。

暖炉

暖炉の上には大鏡。神戸の異人館でもよく置かれていますが、大鏡は人の姿を映すためではなく、お部屋のインテリアとして、広く見せるなどの役割を担っています。

謁見の間の大鏡

天井のシャンデリアも、花が開いたもの、蕾型のものと、凝った造りで目を楽しませるようになっています。このシャンデリアは当時から電気。金装飾等は保護復元加工されているため、金が光輝いていますが、元の形は当時100年前のそのものだそうです。

シャンデリア 花開いたもの

シャンデリア 蕾型のもの

お部屋には、海の絵が。愛媛県にあるから瀬戸内の海かと思いますが、実は『横浜』の絵。

というのも、松平のお殿様は横浜港の普請を請け負わされていたとのことで、この当時の横浜の海をテーマとした絵を掲げられていました。

7万両とのべ30万人を投入してわずか1年半で横浜港の基盤を整えられています。

海の絵

1F 晩餐の間

謁見の間は晩餐会の待合的な役割も担っていましたため、謁見の間の海の絵の下扉をくぐると晩餐の間となります。

晩餐の間はお食事をいただくお部屋となるため、落ち着いたブラウンを取り入れられています。

晩餐の間

天井から下がるシャンデリアはなんと天然のクリスタル。天然らしく、一本一本少し形が違います。なお、今はほぼ落ちてしまっていますが、当時は天井にクリスタルが塗られていてキラキラ光る天井だったとのこと。今でもじっくり目を凝らせばところどころキラっとした粒が見えます。

クリスタルを使ったシャンデリア

【晩餐の間見どころ】身分制度背景を意識して往時に浸る

実はこの晩餐の間の見どころは、豪奢なインテリアとの対比で見る使用人の存在。

見どころ❶ 暖炉横3つのボタン

実はこのお部屋だけではなく、全てのお部屋に置かれている3つのボタンですが、晩餐の間だけはうっすらとした文字が残っています。

文字に書かれているのは執事・侍女・事務方。

100年前に電気信号で控え室をよぶ呼び鈴は、超のつく最先端でした。この呼び鈴を全部屋につけ、使用人側からもどこで呼ばれたかがわかるようにしたのは、高貴な方の前で大声で、使用人を呼ぶという失礼を働かないためにつけられていました。

3つのボタン

見どころ❷部屋の角に設置された扉(右ノブ)

ステンドグラス展示会があって、少し分かりにくくなっていましたが、賓客が出入りする扉とは別の角に厨房につながるドアが設置されていました。

この扉、本来は左ノブの方が右利きの方には使いやすいのですが、あえての右ノブとなっています。

これには理由があって、部屋の角と反対側に蝶番をつけて扉を開けると、晩餐をいただく席からは開いた扉が目隠しとなって、使用人エリアの様子が見えないように配慮されているとのことです。

細かな部分の配慮というのがこちらの見どころとなっています。

厨房につながる扉(部屋の角)

ゲストルームと主人のお部屋などのあった萬翠荘2F

貴賓室

大階段を上がってすぐのお部屋は昭和天皇の肖像(左側は皇太子さま時代)の飾られた貴賓室です。

貴賓室

実は大階段のステンドグラスが最も美しく見えるのはこの貴賓室から。ちょうど目線の高さに船が見えるように設計されています。

貴賓室からみたステンドグラス

昭和天皇が朝食を取られた朝食室

2Fの角部屋は朝食専用室。昭和天皇も朝食を取られてお部屋とのことで、三方向を窓に囲まれた明るく天井の高いお部屋です。

朝食室

別方向のイメージとなる2つの映画の舞台

2Fの居室には、萬翠荘が撮影地となった2つの映画の紹介をしています。

その2つの映画、見せ方によってこんなに違うんだというイメージの違いが大きかったためご紹介します。

ソローキンの見た桜

奥様の元居室に写真が飾られているのがソローキンの見た桜。この映画は、松山城二の丸庭園が恋人の聖地と呼ばれているエピソードの元となっている壮大な恋愛劇がテーマとなった作品です。

日露戦争時代、ロシア人捕虜の収容所のあった松山市の看護師とロシア人将校の恋愛です。戦争が終わり、将校はロシアに帰って、その看護師とは別れ別れとなったのですが・・・。

ソローキンの見た桜の展示❶

その後、松山城の二の丸庭園で発見されたのは、ロシアの金貨(20万円以上相当の重みのあるもの)。その高額金貨には、日本人女性と将校の名前が彫られていて、二人が確かに恋愛関係にあったと人々の知るところとなりました。それが、二の丸庭園が恋愛の聖地となった所以です。

ソローキンの見た桜❷

この映画での萬翠荘のイメージは、所長室や、社交場といった見たままの萬翠荘の豪奢さを活かしたものでした。

バスカヴィル家の犬

そして、豪奢なお屋敷というのはライトのあたり方が変わると急に『恐怖の館』風のイメージも持つことができるのかと思わせるのが、もう一つの映画、『バスカヴィル家の犬』。

ストーリーはネタバレ厳禁のシャーロックものですので、慎重に公式サイトより引用しています。

瀬戸内海の離島。日本有数の資産家が、莫大な遺産を遺して謎の変死を遂げる。資産家は死の直前、美しき娘の誘拐未遂事件の犯人捜索を若宮に依頼していた。
真相を探るため、ある閉ざされた島に降り立つ獅子雄と若宮。二人を待ち受けていたのは、異様な佇まいの洋館と、犬の遠吠え。容疑者は、奇妙で華麗な一族の面々と、うそを重ねる怪しき関係者たち。やがて島に伝わる呪いが囁かれると、新たな事件が連鎖し、一人、また一人消えてゆく。底なし沼のような罠におちいる若宮。謎解きを後悔する獅子雄。
これは開けてはいけない“パンドラの箱”だったのか?その屋敷に、足を踏み入れてはいけない―― 。

バスカヴィル家の犬公式サイト
バスカヴィル家の犬の撮影地展示

このお屋敷の壮麗な外観も、作為的にライトを当てると下の写真のようになります。

展示パネルで見る萬翠荘

皇族仕様の人力車に乗って記念撮影可能

最後に玄関前で人力車を見学。この人力車は皇族仕様の豪華なものですが、乗っての記念撮影も可能です。

人力車

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