京都の酒どころ伏見。私の記事では2022年に伏見酒蔵巡りを掲載していますが、今回、その伏見で『日本酒講座』初級編を受講してきました。
日本酒講座は予約制
伏見AMAZAKEHOUSEの日本酒講座は、今や海外からお越しになる方に大人気。ということで、日本人向けは回数が限られていることもあるとか。
初級編(4,500円)と上級編(5,500円)があり、初級編は日本酒ラベルで表現される文言など、いわゆる座学的な要素が大きく、試飲も突飛なものはなく初心者でも楽しめるものを中心にしています。
上級編は、『尖った』味わいの日本酒をいただける趣向のもの。
いずれもアソビューのリクエスト制で申し込めます。(土曜日の初級編はほぼ満席に近かったため旅行等遠いところから参加で日付固定の場合は、早めのリクエストが正解かと思います。)
AMAZAKEHOUSEの場所は?
AMA ZAKEHOUSEは、伏見酒蔵地区の有名酒蔵である月桂冠大倉記念館や黄桜カッパカントリーのほど近くにあります。京阪電鉄中書島または、近鉄・京阪電鉄の伏見桃山駅からも徒歩で6分から10分程度の場所となります。
外観はカウンターで購入できる甘酒専門店。甘酒を販売しているカウンターではなく扉から入っていきます(写真では閉じていますが、講座前には扉が開いています。)
日本酒講座初級編 まずは基礎知識から
日本酒講座の初級編。米の種類や精米歩合などラベルから読み取れることを学びます。30分間スライドを使って、みっちり教えていただけるのですが、ピックアップして2エピソードだけご紹介します。
酒造好適米『祝』
伏見だからこそ教えていただけたこととして一つ。
酒造好適米の『祝』というお米。京都をよく訪ねている私は、よくみているので一般的な酒米だと思っていました。
実は京都のみで栽培されているお米で、京都の酒蔵でしか使えないものとのこと。
そのため、京都に行く機会の少ない方は京都で『祝』を使った日本酒を見つけたら観光の一環として飲んだ方が良いと思います!
精米歩合はなんと1%のお酒が存在
日本酒の精米歩合について、大吟醸が50%以下と定められていますが、高いお酒のイメージでいうと精米歩合35%などよく見かけませんか。
この精米歩合、もちろん削れば削るほど元となる米の量も多くなりますし、何より精米には非常に時間がかかるものですが、世の中には1%まで削ったお米が存在するらしいです。
講座では山形県のお酒らしいというところまで教えていただきましたので、ネットで調べてみたところ。
おそらく楯野川酒造さんの光名かと思います。
試飲タイム・このお酒は何と合わせるの?
この日にいただいたお酒は5種類。左から順番に1から5番までの番号がついたグラスで提供されます。まずはお酒のみでいただいて、その後お料理が出て合わせていきます。
マッチするお料理と合わせると酒の味って引き立つのが顕著にわかる体験となります。来てよかった‼︎という学びですね。
①月桂冠京(みやこ)しぼり✖️湯葉とお塩
原料米は祝。大吟醸です。精米歩合は50%で違いを学ぶ特徴としては、『醸造アルコール』を使っています。日本酒度は3.5。日本酒度はマイナスの値が大きい方が甘いので、少し辛口方向のお酒です。すっきりとした味となっています。
その日本酒に合わせるのは『お塩をつけた湯葉』。すっきりしたものには、薄い味のお料理を合わせるのが基本となります。
いただいてみるとピリッとしたアルコール感がまろやかに感じます。
②英勲 古都千年✖️大根の酢漬け
原料米は①と同じ祝、でもこちらは『純米大吟醸』。醸造アルコールは使っていません。精米歩合は45%。日本酒度は0です。
合わせたお料理は、大根の酢漬け。原材料の同じものは合うため、日本酒と同じ発酵食品である『酢』、これは確実にマッチします。
③東山 瀧口水洛伝✖️鶏肉と九条ネギの西京味噌漬け
原料米は、酒造好適米として最も有名な山田錦のお爺さんに当たるお米『雄町』。精米歩合65%の純米酒で日本酒度は0。
精米歩合が低く、味の濃い純米酒には、同じく味の濃いものが合うとのことで、鶏肉と九条ネギの西京味噌漬けが合います。
純米酒は米感が強いとのことで、純米酒と合わせる食べ物は『白ごはんが欲しくなる食べ物』だとのこと。角煮などにも合うようです。
逆に、このお料理に大吟醸の繊細な味を合わせてしまうと、お酒の味がわからなくなるもの。高いものなら間違いないなんて安易にお酒を選んでしまうと美味しさが活かせなくなってしまいますね。
④英勲 純米生原酒✖️しば漬
原料米は、五百万石今日の輝き、精米歩合は60%です。こちらは純米生原酒。『生』ですので、貯蔵の前と後どちらも火入れしていないお酒です。そして『原酒』とは、絞った後に加水せずアルコール度数を調整していないお酒。アルコール度数は17度あります。単体で飲むと非常にワイルドな味です。
非常に濃い味のこのお酒。合わせるなら本物のしば漬!本物のしば漬とは、きっちり乳酸発酵させた物。(スーパーなどで漬け液に使ったようなものではなく本物が合うとのこと)。
お酒の発酵の大元も空気中の乳酸。乳酸発酵同士こちらも合う理屈が成り立つようです。
⑤英勲 純米古酒
こちらの醸造年は1998年。純米酒であり、精米歩合は60%また原酒ですので、アルコール度数は18度。日本酒度は6.5度です。
単体で飲んだ感じはウイスキーのような感じ。
これに合わせるのは『クリームチーズ』。え?日本酒とクリームチーズ?と訝しがることなかれ。クリームチーズとこの古酒を同時に口に入れてチーズと溶かすとなんと!口の中でチョコレートが味わえてしまいました。
このマリアージュの理由は『メイラード反応』。メイラード反応とは、糖分とアミノ酸が結合して褐色の物質ができること。コーヒーの焙煎などはその反応を短時間で起こしているのですが、日本酒も古酒となる長い期間の中でじっくりとそのメイラード反応が起こっていて、うっすらと褐色となっています。
このメイラード反応によって、コーヒーと乳製品が合うという理屈がそのまま古酒と乳製品が合うという理屈となるようです。
この理屈を通したデザート 『バニラアイスクリームの古酒がけ』も合わせていただくことができました。
海外の方から多い質問!お寿司に合わせる日本酒は?
この日本酒講座。主として海外からお越しになった方向けに実施されているようですが、その中で最も多いご質問はお寿司に合わせる日本酒は?というものだそう。
お寿司は味が淡白、だから合わせるのは淡麗なお酒が良い。
だから『大吟醸!』なのですが、実は大吟醸の『吟醸』というのは、現代の技術で、菌がほぼ瀕死の低めの温度で醸造することを指しています。その目的は『フルーティーな香り』を出すこと。
このフルーティーな香り。実はお寿司と合わせるには若干強い。ということでお寿司に最高に合うお酒は『精米歩合は高いけれども吟醸でないお酒』こそが本当に合うお酒とのことでした。(ネットで探したのですがどの銘柄か、私にはまだ答えは見つかっていません。)
非常に充実した講義時間で、お料理も美味しくいただけましたので、日本語対応の講座を実施しているうちに、(ここは日本だけれども今や日本酒は海外の方が興味持たれていたりするため)上級編にぜひ行かねば!と思う講座でした。