京都伏見の酒蔵巡りの地が出発地・帰着地となる十石舟が3月19日から冬休みがあけて、始まると聞いて乗船しました。
十石舟とは?
伏見の酒蔵や水辺と三栖閘門(みすこうもん)の資料館の下船見学ができる20名定員の観光木造船。見学時間を含めた所要時間は50分です。
乗船料金は1200円。期間は3月19日から12月4日まで。4・5・10・11月を除く月の月曜日と8月の15日以降は運休となりますので注意が必要です。
十石舟乗船地までの行き方
乗船場所は京都伏見の月桂冠大倉記念館裏となります(記念館から徒歩2分)。
月桂冠大倉記念館には色々な路線からアクセスできますが、最も近いのは、京阪電鉄 中書島駅。徒歩4分ほどです。近鉄京都線では桃山御陵駅で徒歩20分ぐらいかかるので十石舟のみの目的の場合は少し遠いと思いますが、酒蔵巡りなど他との組み合わせの場合散策も割合近く感じます。JR桃山駅だとさらに5分ぐらい離れます。
月桂冠大倉記念館前には徒歩2分の→が出ています。
近づくとのぼりが沢山出ています。
乗船時間の15分前までに乗船場にきてくださいと書かれています。予約は不要でした。
乗船中の見どころ
右舷と左舷で見える景色は異なりますが、下船観光を挟む往路と復路で同じ側に座るとターンして両側を見ることが出来ます。
月桂冠大倉記念館の外観
乗船してすぐ、酒蔵らしい佇まいを舟の低い目線から見ることが出来ます。
桜の通り道(きっと綺麗になる予感)
今年は平常年より桜の開花が遅いようで、まだ全くの状態ですが、川の両側に桜が植えられている部分があり、おそらく4月上旬には桜の特等席になりそうです。
2022年は3連休の次の週末あたりからは、少しは見られるのでは?という感じで、今回は想像のみですね。
龍馬・お龍ブロンズ像
この舟からは高い建物が邪魔をして見えなくなりましたが、運行途中にこの上方向に寺田屋があるという案内があります。
寺田屋は有名過ぎるところですが、薩摩藩士として宿泊していた坂本龍馬が、暗殺されかかった事件の舞台です。その事件後に、坂本龍馬は妻のお龍(おりょう)と療養を兼ねてこの坂本龍馬像のある寺田屋浜乗船所のあたりから三十石船で九州霧島のあたりに向かいました。
これが、日本最初の新婚旅行といわれていて、その記念像が、ここから見えます。
その坂本龍馬の乗船した三十石船は30人程度が乗れる少し大きなゆったりとした船で、現在の観光船は秋にのみ出ています。三十石という表現は元々米を運ぶ船だった由来から来ています。
今回乗船した十石舟はこの三十石船をモデルに小型にしたから十石舟となります。小舟と大きな船で観光船も漢字を絵使い分けて書かれているのが興味深いです。
琵琶湖疏水
琵琶湖疏水の合流地点では、本物の琵琶湖疏水ですという案内がありました。
三栖閘門(下船観光)
10分ほど乗船すると十石舟は三栖閘門の下船場所に到着します。
船頭さんは15分ぐらいお時間ありますとおっしゃっていましたが、実際は25分後ぐらいの再集合期間が記されていました。往路と復路では舟が変わるため荷物は持って降ります。
下船後向かうのは小さな三栖閘門資料館となり、その中で三栖閘門とは何かの説明がありました。
三栖閘門とは?
三栖閘門とは、『三栖』という地域にある『閘門』と名前は分解できます。
『閘門』も聞きなれない言葉という方もいらっしゃると思いますが、高低差のある川を行き来するため設備のこと。
川の合流地点の間を2箇所堰き止めて、緩衝地域となる場所を作ります。高い川から低い川に行くときは、高い方の扉をあけて緩衝地帯に入れて扉を閉めます。そのあと水を抜いて低い方の川と同じ高さまで水面を避けた後、低い川の水面と高さがあったところで低い方の川の扉をあけて船を出します。
低い川から高い川に向かう場合は緩衝地帯に水を入れて高い方の川に水面を合わせる仕組みです。
現在は使われておらず、昭和前半の産業技術の保存という意味合いで残されているものでした。
この三栖という場所では高い方の川が、濠川、低い川が宇治川となります。この閘門ができたことで、伏見から大阪に向かう輸送が格段に良くなり産業の発展が進みました。
閘門が使われなくなった背景は宇治川の上流にダムができたことで、宇治川の水位が下がり、高低差が広がりすぎて閘門ではカバーできなくなったことが理由となります。利用できなくなったのは54年前、もう船だけの輸送に頼る必要もなくなった時代ですのでそのまま利用を停止したのでしょう。
見学時間h資料館を見ても充分に余裕があるため、実際の閘門を近くで眺めたり、宇治川の水位との現在の差を見て、その低さを感じることが出来ます。ダムができる前の閘門利用当時は宇治川の水位は2mぐらい高かったようです。
閘門を見ても時間に余裕がある場合は、資料館の裏に閘門の巻き上げ機のモニュメントがありますので、そちらも見学可能です。
時間が来たら再び乗船一路元々来た川を戻ります。
帰りはマイクを使った説明はありませんでしたので、ただ静かに景色をじっくり楽しむ時間となりました。
すれ違う舟や、川縁の方々と手を振り合う時間というのも観光らしく楽しいものです。