国宝 犬山城とは
重要文化財のなかでも、特に優れた歴史価値を持つと指定されている『国宝』。国宝の天守閣をもつお城は、姫路城・彦根城・松本城・松江城、そして犬山城と5箇所あります。
犬山城は日本最古の現存天守を持っており、木曽川等の立地を含め、経済・防衛の重要拠点の役割を担ってきています。
築城したのは織田信長氏の叔父である織田信康氏。砦を城にしたというだけあって防衛に適した立地だということでしょう。
戦国時代は城主が頻繁に変わりましたが、1617年から幕末まで長く治めたのは成瀬正成(まさなり)氏から連なる成瀬家です。
犬山城 お得セット 城下町周遊券は翌日以降複数日利用で4箇所巡りが可能
犬山城の通常大人入場料は550円。お城だけでなく、城下町の文化施設も巡れるお得なセットとして、城下町周遊券が760円で販売されています(割引前950円)。
この城下町周遊券、犬山地区に宿泊で訪問する方であれば、城下町の食べ歩き等も含め複数日に分割しての利用も可能です。
私も到着日はお城のみしか訪問できず別日に他の施設を巡りました。
さて、この4箇所利用できる設備は以下の通りです。
- 犬山城 (通常550円)
- 城とまちミュージアム(通常からくり展示館と含め300円)
- IMASEN犬山からくりミュージアム
- どんでん館(通常100円)
4箇所巡りの位置関係
犬山城とその城下は、名鉄犬山駅(名古屋から30分程度)で城下町方向から、犬山遊園駅でお城側からのいずれかのアプローチとなります。
城下町のお城に近い方に城とまちミュージアムとIMASENからくりミュージアムが隣り合って並んでおり、城下町のお城から見た『果て』にあたる場所にどんでん館があります。
では、その4箇所を犬山城から近い順にご紹介します。
1箇所目:国宝犬山城
犬山遊園駅方面(ホテルインディゴ犬山有楽苑方面)からみると、城基調の天守に見えますが、正面から見ると黒色も印象的な重厚な天守のイメージです。下二層屋根のある入母屋造りの土台部分に、望楼がのっている望楼型というスタイルです。
他のお城が犬山城の造りを真似して作られていったという望楼型の中のお手本のようなものですので、日本のお城の美しさを愛でるにはピッタリです。
犬山城見学はある程度心して…..
この天守、入城すると登れますが、試練が…..。
登っていく階段は、踏み台部分が狭く、段差が大きい階段の連続。犬山城の遠景写真を見てみてわかる通り、お城正面入り口までに上がるのにずっと上り坂を上がってきた足に更なる試練です。
1日の最後ヘトヘトになった後の犬山城天守見学は大変ですので、体力があるうちに訪問しましょう。
そして、行き着いた先に広がる雄大な景色を天守から!ぐるりと回って一周360度景色を楽しめるというのは当たっているのですが。
この天守の木の柵、かなり低め。かつ歩く幅は狭く、うっすら外側が低く傾斜しているように感じる高所恐怖症の方には厳しい仕様。
私はお城の壁に近い方をそろりそろりと進み、「もう挫折で良い」と半周でリタイアしてしまいました。(リタイアした人は少ないと思いますが、ここの天守閣は『恐い』と言われていますので、注意して静かに巡りましょう)
晴れると鵜飼乗り場や、成田山、遠目に小牧山城、御在所岳、遠く岐阜城なども見えるそうです(見てませんが…..)
お城の中には展示あり
お城の内部にはお城の模型や、土台木組の様子の展示、鎧などがあります。
付櫓(つけやぐら)
犬山城の特徴は本殿の左右に付櫓という飛び出た部分があるところ。この付櫓は防御目的の施設でその中から敵を迎撃することができるように作られています。
観光客としてみる付櫓からの景色は緑豊かな様子。高所恐怖症の方は、最上階で景色を愛でられない分、この窓から緑でも….となります。
2箇所目:城とまちミュージアム
犬山城から麓の城下町に下りて最も手前の位置にあたるミュージアムが城とまちミュージアムです。
犬山の歴史や町の特徴を新し設備で見ることができるのが城とまちミュージアムです。
写真撮影はロビーと展示室内の鯱鉾のみ可能となります。
ロビーには大きな犬山の町の模型が。江戸時代1840年の情景を再現しているそうです。
また、犬山祭りで利用される山車の模型も飾られており、レバーを回すことでお祭りの際に山車を『どんでん返し』する体験もすることができます。
展示室内は写真撮影ができませんが、絵も鮮やかで豪華な豊臣秀吉のお風呂道具や犬山焼きなどが必見です。
3箇所目:IMASENからくりミュージアム
からくりミュージアムは、小型・大型のからくり人形の仕組みと作成工房模型を見ることができるミュージアムです。週末は1日5回仕組みを解説してくださる実演があります。
実演を見ると興味が湧くものですので、ぜひ実演時間に合わせての訪問をお勧めします。
実演の一つは、小型の茶運び人形です。江戸時代初期400年前にお座敷のおもてなしのために作られたもので、超高級品。
お値段は小型車1台分もするとのこと。
金属加工ではない江戸時代に作られたこのからくり人形のゼンマイ部分は鯨のひげ。鯨のひげはタンパク質とプランクトンが固まったものなんだとか。
お茶を台に乗せることで物理的にスイッチが入り、最長1.8mもの距離を走行するからくり人形。
江戸時代の方々は驚かれたのでしょうね。何もないところからこういった構造を思いつく先人の素晴らしさに感嘆してしまいます。
実演の2つ目は大型のからくり人形。手足の細かい動きなどを操作するため、本来は1体を3人で動かすのだとか。目の前で自然に足の上げ下げを行いながら前後左右に動く様子を見ることができるのは実演ならでは。
服の前の部分が開いて一瞬で面を被る様子(面被り)も必見です。
実演以外にも工房の様子や、凝ったからくり人形が見学できます。浦島太郎のからくり人形は自身のスマホで、動画を見ると玉手箱から煙が出る様子や面かぶりで一瞬のうちに老人になる様子の解説を見ることができます。
4箇所目:どんでん館
城下町の通りでお城から最も遠い場所にあるのはどんでん館。遠いと行っても食べ歩きもできる城下。徒歩5分ぐらいはあっという間です(食べ歩きをしていると所要時間無限ですが)。
どんでん館は、犬山城の山車をテーマとしたミュージアム。
見るべきものは山車のある部屋に入ることでスイッチが入り、6分間でお祭りの日の1日を再現する実物展示です。(私たちは先頭で入ったのでフルに見学できましたが、途中入ってきた方はスイッチ入らず途中からになるのでご注意を)。6分は割と長いため、椅子に座ってのんびりと鑑賞します。
日中、ライトは青くなるだけですが、その場所にいると、祭りの喧騒の音が激しくなっています。
夕暮れが山車を赤く染めた後、山車の灯が灯り、月が出る夜の雰囲気へと移行します。