南禅寺塔頭(たっちゅう) 金地院の特別拝観

南禅寺は臨済宗南禅寺派の大本山ですが、南禅寺の塔頭(たっちゅう)の中で南禅寺より格が高いとされている金地院で特別拝観を行なっていました。

南禅寺の場所は?

南禅寺の場所は京都市営地下鉄の東西線蹴上駅から徒歩10分程度。蹴上インクラインの途中に参道があります。

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今回は南禅寺については山門までの訪問記事です。南禅寺の方丈や周辺料亭等については別記事をご参照願います。

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春のインクライン

料亭八千代の春

南禅寺 塔頭 金地院

塔頭とは寺院の別院・禅宗では高僧の塔のある場所とのこと。

南禅寺の参道を山門に向かう途中、金地院に向かう門があり、道を曲がって訪問します。

金地院の門

院内に『東照宮』があり、三代将軍 徳川家光公の時代に将軍をお迎えしようとされていたことからも伺えます。(実際に家光公が訪問されたかは記録がなく史実はわからないとのことでした。)

拝観受付

東照宮と鶴亀庭園の一般拝観は500円。解説付で襖絵や茶室をみることのできる特別拝観は+700円で1200円となります。

特別拝観の解説時間は30分程度かかるということと、1日に数回、決まった時間にのみ行われており、受付で確認して予約を取る必要があるため十分な時間の余裕のある時に伺った方が良いと思います。

3月の土曜日、特別拝観の時間は10時30分、13時30分、15時30分とのことでしたが、日によって変わるかもしれません。定員は各回5名でした。

金地院はHPがない(格式や文化財保護的見地があるのかと思いますがあえて作っていない)そうですので、現地での受付確認必須となります。

一般拝観部分 東照宮

順路を東照宮に向かう道は緑豊かな道となっています。

順路を東照宮へ

順路途中に鳥居がありました。

鳥居

東照宮は徳川家康をお祀りする宮で、徳川家への忠誠を示すため家康公をお祀りする東照宮は全国に数百あります。

しかし、金地院の東照宮は、金地院の以心崇伝(いしんすうでん)が徳川家康公から遺言で建立を託された希少なもの。

以心崇伝は『黒衣の宰相』ともよばれ、徳川家康公の元で幕府の立法や宗教改革などに尽力された方ゆえに、遺言を託される場に呼ばれたということでしょう。

東照宮

一般拝観部分鶴亀蓬莱の庭

東照宮でのお参りの後、鶴亀蓬莱の庭に向かいます。

鶴亀蓬莱の庭は以心崇伝の3代将軍家光公をお招きしたいという思いを表した小堀遠州氏の作庭によるもの。

広すぎて全景が撮れないため全体解説は門に掲げられた解説図で。

鶴亀蓬莱の庭の説明表示

第一の特徴は鶴石、亀石がおかれた非常にめでたいものであるということ。

右側にあるのが、前に伸びた石が鶴の首部分を表している鶴石。左側にこんもりとした石があって少し離れたところに亀の頭の部分が表された亀石があります。

鶴石
亀石

第二の特徴は、三尊石組で灯籠の横にある3つの石。これは3つで仏様を表すものですが、この庭ではさらに仙人の住む蓬莱山も表しています。

そして、第三の特徴は正面におかれた礼拝石。この庭にいながらにして、写真右上方の東照宮への礼拝をするという徳川家康公への敬意を表した石です。

鶴亀蓬莱の庭 中央

そして、もう一つの特徴は『3代将軍家光公』をお招きするために作られた庭であるため、『緑が枯れない』ことにあります。

紅葉することもない常緑樹で枯れることのない栄華を示しています。

この解説は特別拝観の際にご説明いただけました。理解して眺める日本庭園は見え方が違ってきますね。

金地院の特別拝観

金地院の特別拝観は方丈の中を見学するのですが、カメラを含めた手荷物をまずロッカーに入れるところから始まります。

というのも、ここで拝見する絵図は全て本物。長い月日を経ても劣化しないように、特別拝観時以外は電気も消して明かりにさらされることのないようにと徹底して保護されています。

そのため、見学した内容については、絵葉書の案内看板がありましたので、そちらも合わせてご参照ください。

猿猴捉月図(えんこうそくげつず)

鶴亀蓬莱の庭の下の写真。長谷川等伯の作となる『猿猴捉月図』です。

猿には輪郭に当たる部分がなく、全てが繊細な毛並みで描かれているのが、幻想的で可愛らしいものです。この手を伸ばしている先にあるのは水に映りこんだ月。この絵の先にはお話があって、水に映る月に手を伸ばしたお猿さんは、木の枝がぽきりと折れて、命を落としてしまうという悲しいもの。

この悲しい物語の背景には、「実態のない(月のような)ものを追い求めると命を落とすようなことになる」=「身の程を知ることが大切」という仏教の教えがあります。

金地院絵葉書案内

八窓席茶室

猿猴捉月図の右下の写真が八窓席茶室。この写真に写っていない左側には明かりとりの窓とにじり口があります。が、この茶室にはにじり口以外にちょうどこの写真を撮影している方向に立って入れる高さの襖が設置されているのです。

通常、刀を置いて入るためのにじり口に、それ以外の入り口があるのはなぜか?それも、3代将軍家光公を茶室に招き入れる際の配慮。

徳川家始まって以来の『生まれながらの将軍』ににじり口で頭を下げて入ってもらう訳にはいかないと賓客向けの入り口を別に作られたそうです。

この茶室、実は裏側にもう一つ茶室があって、床の間にあたる部分が通常の茶室より浅いそうです。ただ、みる限り浅くは見えない。

そこにも理由があって、床の間横の窓の部分、手前側に偏って開けられていますね。それが遠近法の技法となって人の目に奥行きがあるように見せる工夫だとのことです。そんな昔に遠近法が生かされているとは驚きですね。

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