観光放水の終盤となる10月3連休。紅葉には少し早いかなというタイミングで黒部ダムを訪問してきました。復刻版ダムカレーをいただいたり限定のお土産を購入したりと王道の楽しみ方をご紹介します。
長野側入り口扇沢駅
一般車両で黒部ダムの直接アクセスは不可
黒部ダムは、一般車両(自家用車)で直接向かうことができません。黒部ダム自体の所在地は富山県ですが、富山県立山から向かう場合も長野県から向かう場合も、乗り物を乗り継いで行く必要があります。
アクセスしやすいのは長野側から。扇沢駅という電気バスの出発駅から16分、電気バス一本で行くことができます。
扇沢駅という名前ですが、電気バス以外に発着する電車はなく、そこまではレンタカーや自家用車で行くか、信濃大町などからバスで向かうこととなります。

扇沢駅
駅近駐車場は有料
扇沢駅までは車で来る方が非常に多いため秋の三連休の中日ともなると、駐車場の満車にも注意が必要です。朝8時半過ぎに到着したところ駅に近い有料駐車場(第一は12時間、第二は24時間で1,000円)の駅から1番遠いあたりにギリギリ駐車できました。
駅から遠い方の第二駐車場がいっぱいでも第一駐車場に空きがあることもあるため、駅近くまで進んでみることも駐車のコツかと思います。
なお、駅から遠いエリアは無料です。送迎付きの駐車場まであるようです。
扇沢駅前駐車場
混雑期は事前予約でゆうゆう発券
さて、駐車場の混雑具合から分かる通り、電気バスの切符売り場も大混雑です。
電気バスの出発は扇沢駅購入の場合でも30分ごとの時間指定予約制ですが、おすすめはネットでの事前購入。公式サイトから購入が可能で、現地では配信される2次元コードを発券機にかざすだけ。
こちらは、並んでもおらず操作も一瞬です。
扇沢駅事前予約者用発券機
扇沢駅で発券した切符
ダムカレーの元祖は扇沢レストハウス
黒部ダムとでの食事といえばダムカレーですよね。後述する黒部ダムレストハウスでもダムカレーはいただけますが、その元祖は長野県側扇沢駅構内にあるレストハウスです。黒部ダムレストハウスはお昼前には大行列でしたが、扇沢駅ではまだ空きもありました。
扇沢駅レストハウスメニュー
扇沢駅構内には電気バスと青いライトに照らされたトンネル内の破砕帯のイメージを表した撮影スポットがあります。また、急激な寒さが訪れる10月初旬のタイミング、駅構内にはアウトドアウェアの販売コーナーなども出ていましたので薄着で来てしまったい場合の現地調達もできそうです。
扇沢駅構内
改札に並ぶと黒部ダムとその先のアルペンルートの現在情報が流れています。10月でも突然雪山の映像が流れたりしているので、黒部ダムのその先にまで向かう方は映像と温度表記をここで確認しておくと良いと思います。
扇沢駅の改札映像
扇沢駅⇔黒部ダムの電気バス(自家用車走行不可)
写真では1台のみに見えますが、この手前にも何台も電気バスが停まっていて、切符で指定された時間に全てのバスが出発します。電車では見かけるパンタグラフでバスは充電されています。
外観
バスに乗ると変わった形の吊り革が。猫でもないかなと思って見ていましたが、これは黒部ダムのキャラクターくろにょんの形を表したもの。
くろにょん型吊り革
くろにょん
電力バスはすぐにトンネルに入り、そのままトンネルの中の黒部ダム駅に向かいます。
写真が間に合わず取れませんでしたが、途中に長野県と富山県の県境表示があります。また、破砕帯の表記も。
破砕帯というのは、黒部ダムを建設する前のこのトンネル工事の際、両方からトンネルを掘り進めた後、片側の進行を妨げた水を大量に含んだ地盤のこと。掘ると水が溢れて工事を妨げました。このエリアはわかりやすいように青いライトで照らされています。
(写真は映像を撮影)
そしてバス道も後半、ある場所でバスが停車。向かいから来る場所とのすれ違い地点です。なぜ、定時にしかバスが出ないのかと思っていましたが、理由はこのすれ違いでした。1箇所しかないすれ違いポイントに縦列にバスが揃い、向かい側も全てのバスが揃ったのち一斉にすれ違う必要があるのです。復路乗車時には、乗客はこのポイントがわかっているので反対側のバスに向けて手を振ったりされている方も多くいらっしゃいました。
バス交差地
そしてバスはトンネルの中のまま黒部ダムに到着します。
駅から220段の階段 黒部ダム展望台
さて、その黒部ダム駅を出ると道が2つに分かれます。1つは60段の階段を上がって黒部ダムの展望台のうち真ん中の高さ『放水観覧ステージ』に到着するもの。もう1つは220段で最も高い展望台に上がるものです。
せっかくなので220段。運動不足の私を見越したように階段途中には後〇〇段がんばれ的な表記がいくつかあります。辛いと思うのは私だけじゃないのだなと少し安心しつつ、登ります。
そして途中、湧水を飲んで休んでねという場所もあります。ここは辛い階段の終盤、優しく休んでねという表記となっていますが。
レストハウスにあるお手洗いで手を洗う時には『この水、冷たいと思いました?』という問いかけとともに破砕帯の水が使われていて、トンネル工事の時に溢れた水の冷たさを示していて作業の過酷さがわかるようになっています。
水は命の源でありながら、集まった時の怖さもあるという両面を感じる破砕帯のお水については黒部ダムの重要なスポットですね。
展望台行き階段途中にある湧水
展望台行き階段途中にある湧水解説
黒部ダム1番高い展望台
階段を登り切った先から見えるのは、迫力ある観光放水実施中の黒部ダムの雄大な景色。
黒部ダムの観光は4月15日から11月30日までですが、観光放水は、6月26日から10月15日。10月の3連休は観光放水期間の終盤となっています。
この最も高い展望エリアでは無料と言いつつ有料の写真購買を促す写真撮影サービスが実施されていました(常時実施かは不明)。せ
っかくなので1,300円で写真を購入(データ込みは2,000円です)。フレームに入れてくれます。下の写真の黒部ダム栞に隠れているところに人物が入っています。
また、この展望台には山々に囲まれた黒部ダムの地形模型があり周辺の山の高さも全体が理解できます。この展望台では黒部ダムの観光放水と合わせて雪をいただく山頂などの雄大な景色に圧倒される時間も過ごせます。
この一番高い展望台以外にも降りていく途中にもいくつか観覧エリアがあり、観光放水を近くに見ることができるようになっています。
そして、ダム湖の高さにあるレストハウスに向かう下り階段。
体力的には下ですので気になりませんが、高所で見晴らしの良い階段という恐怖は否めません。遠景で改めてみてもあの階段怖いよねと思ってしまいます。実はレストハウスのもう一段下にあるレインボーテラス(写真左下)には展示もあったのですが、この外階段の恐怖で挫折してしまいました。
黒部ダムのコンクリートはどう運ばれた?
さて、黒部ダムの工事といえば、トンネルについてばかり語られますが、建造物としてダムそのものも、とてつもない建築技術の塊かと思います。
膨大な水を堰き止めるコンクリートの巨大建築物に使われたコンクリート量は大型生コン車27万台分。そのコンクリートをダム中央部に向けて運ぶコンクリートバケットの実機が展望台からの階段途中に置かれています。
近くで見ると見上げるような大きな容器。でも概略図で見ると、小さなゴンドラに見えてしまいます。この巨大コンクリートパケットで17万8千回箱部分のコンクリートが黒部ダムには使われています。コンクリートバケットを運ぶためのワイヤーの太さだけでもかなりあります。
パケットを運ぶためのワイヤー
パケットを運ぶためのワイヤー断面
黒部ダム 60年記念アーチダムカレー
さて、ダム湖のある高さまで降りたところで、ランチタイムです。満席必須の秋の連休中日ですが、11時前の段階ではまだギリギリ並ばずに座ることができました。
黒部ダムといえばカレー敷かないと個人的には思っていますが、レストランにはもちろんカレー以外メニューもあります
が、初めての黒部ダム訪問でいただくのはもちろんカレー、そして今は黒部ダム竣工60周年記念扇沢駅で始められたアーチダムカレーが復刻されています。
黒部ダムの建築現場合宿所でも栄養補給のために使われていたスギヨ社のビタミンちくわ(ビタミンAとEが豊富なのだとか)の磯辺揚げが乗っています。
食券を購入すると自動でオーダーが入るため、後は席で待っていると番号が呼ばれるセルフスタイルです。
食券
ダム側は満席のため、湖の見える窓側カウンターに陣取り。窓側は全てカウンター、窓側以外にはテーブル席もありました(混雑していたため写真はありません)。
夫が選んだのはアーチダムカツカレー、せっかくのアーチがカツで隠れてしまっていますが、食べたいもの優先といったところでしょうか。
アーチダムカツカレー
そしてこちらがアーチカレー。ご飯がダム、カレーが湖、ポテトサラダが放水です。アーチダムカレーは辛いのが苦手な私でもルーを減らせば食べられる程よい辛み(ややマイルド)のカレーでした。お子さまなどには別に甘口ダムカレーもあります。
竣工60周年記念 アーチダムカレー
アーチダムカツカレーダム湖を背景に
黒部ダムのスコップスプーンと限定土産
黒部ダムレストハウスの1Fはお土産ものショップとなっていて、建設現場に因んだ安全第一商品など限定品が販売されています。
関西人にはお馴染みの関西電力さんマークのついたミニミニヘルメットの根付けは410円。
持って帰るのが大変ですが、味も間違いなしのヘルメット型包装に入った黒部ダムチョコクランチは760円。王道土産のスコップ型スプーンは購入したシルバーは760円/本ですが、黒、艶消し、ゴールドの色違いは880円です。
会社のお土産のような配布用の黒部ダムクッキーは600円、今日の雷鳥模様(これは限定ではありません)は、760円です。
ヘルメット型根付け
ヘルメット型クランチチョコとスコップ型スプーン
レストハウス限定クッキー
今日の雷鳥模様
くろにょんと出会ったら記念撮影
黒部ダムのキャラクターくろにょんは、時折ダム周辺を散歩していますので、見つけたら写真を撮ってもOK。むしろ写真のために散歩されてる?という感じです。
黒部ダムの中心付近で水しぶきを
黒部ダムの長さは492m。往復約1Kmダムの上の散歩を楽しみました。果てまで歩くと、アルペンルートのケーブルカー駅となります。また、湖の観光遊覧船ガルべ乗り場もありますが、2023年10月上旬は水位が下がっているためがるべの運行は休止されていました。ダムの中心点となる場所に行くと、観光放水の水しぶきが飛んでいます。
復路の電力バスは時間予約不要
往路(扇沢駅→黒部ダム方向)のバスは時間指定ですが、復路(黒部ダム→扇沢駅)のバスは時間予約不要で改札に並ぶスタイルです。往路の欄で記載した通り、バスの対抗が一斉ですので、発車時刻は30分程度ごととなります。駅には黒部ダムの模型なども展示されており、ベンチも並んでいますので待ち時間も過ごせます。