京都御苑の中央部分、京都御所付近に佇む『京都迎賓館』。
京都迎賓館 ガイドツアー 予約方法と参加可能年齢
予約は公式サイト上で
2022年7月の見学情報を確認すると申込制自由見学(大人1500円)は実施されておらず、少人数向け見学ツアーのみ実施されています。
申し込み予約は申し込みサイト上で実施し、メールで受けた通知を現地で見せて、券売機で参加費を支払って参加します。
1回30人の枠ですのでお申し込みは早めに。
◆期間限定ではプレミアムツアーも
大人5,000円の参加費でさらに非公開エリアなどに入ることのできるプレミアムツアーもあります。が、2022年8月までの実施状況を見ると土日は実施されていませんでした。
参加は中学生以上に限定
参加費は大人2,000円・大学生1,500円・中高生700円です。
国宝級の芸術品などを間近で見ることができる京都迎賓館。小学生以下の方は参加ができません。
集合場所は、京都御苑内 清和院休憩所
京都迎賓館は案内がないと入り口にも入れませんので、集合場所は京都御苑内の中央東寄りの清和院休憩所となります。京都御苑は広大ですので、タクシーで向かう場合は、梨木神社付近の清和院門で下りないと結局かなり歩くということになりかねませんのでご注意を(大雨の中歩いた自己体験…です。)。
迎賓館に持っていけるものは?
清和院休憩所では、券売機でお支払いをすませたあとは、コインロッカー(100円戻り式)に預けます。両替機はありませんので100円の事前準備を。100円を忘れた場合には友人の手荷物預け所に預けます(無料)。
ポケットのない方は25×25×10cmサイズの手荷物を
館内に持って入れるカバンサイズは25×25×10cm。スマホケースと財布を兼ねたような小さな鞄やサコッシュがあると便利ですね。館内は芸術品が溢れているため、ぶつかることのないよう体にピッタリと沿うものがベストです。
折りたたみ傘は持ち込みNGですが、長傘は表玄関までは利用できます(鍵付き傘立てあり)。折りたたみ傘の人には、館内専用長傘も借りることができますのでご安心を。参加した日は大雨だったので、日傘の利用は確認できていません。
京都迎賓館は写真撮影OK(条件あり) メモ・録音はNG
京都迎賓館は、清和院の有料エリア(VTR等を鑑賞するところ)とセキュリティエリア(手荷物検査をするところ)以外、ガイドツアーによって見せていただけるエリアは写真撮影OKです。
撮影可能エリアでも動画撮影は不可、フラッシュも不可となります。また、自撮り棒・三脚の持ち込みはできません。
ただし、メモと録音はNGです。
京都迎賓館ガイドツアーの内容は?海外賓客に伝えたい心こそ見どころ
音声レシーバーでガイドさんの声を聴きながら鑑賞
清和院休憩所内で音声レシーバーが配布されますので、ガイドさんの声は全員に聞こえます。各お部屋の用途や、どんな賓客が利用されたか、調度品の背景・特徴・説明など丁寧な案内がありますので、自由見学では見落としてしまうポイントも多く見ることができると思います。
ガイドツアーの内容はメモが取れないため、記憶に残った概要をご紹介します。
むくり屋根の外観
京都迎賓館の屋根はむくり屋根という凸型に膨らみを持たせた屋根となります。屋根がおじぎをしているような角度で、優しい歓迎の意を表しているように感じます。
正面玄関の欅(けやき)1枚板
正面玄関は樹齢700年という欅の一枚板。引きてには組紐の意匠が施されています。
玄関を開けると、ツアー時はシンプルな様子ですが、賓客を迎える時には、賓客の好みや背景等に配慮した屏風と生花が正面に飾られるとのことです。
ロビーの役割 聚楽の間
エントランスを入ってすぐ、ロビーの役割を果たす聚楽の間があります。窓がなく直接外の光が入らない分設えは赤で鮮やかしています。
置かれている花籠は人間国宝の手によるもの。また、椅子から眺められる位置にある棚にはツアー時は投扇興(とうせんきょう)という文字通り扇を投げて遊ぶ道具などが飾られていましたが、賓客来訪時はご来訪者に合わせた絵を飾られます。
錺金物(かざりかなもの)で繋がりを伝える
釘隠しとして用いられているのは錺金物。600箇所の障子や襖にも錺金物の技術が使われています。釘を隠すのみではなく、その形で国家間のつながりなどを示す『心』が現れている箇所です。
移動する廊下でも気配りの『心』
移動する廊下はツアー時は養生されていますが、海外からの賓客を迎える際に靴のまま通れるように傷みにくい特殊な加工がされています。『日本建築』そのものでありながら、海外向けに配慮を持って作られていると感じます。鴨居の高さなども日本人の身長に合わせた標準サイズよりも高く作られているとのことです。
なお、廊下に置かれた行燈の意匠は折り紙を表しています。
夕映(ゆうばえ)の間
広すぎて全景の撮影ができない夕映の間。会議や晩餐会の待合として利用される広い部屋です。
左右の山並みと太陽の壁面は『織物』。東に向いた織物を見れば、東に存在する比叡山を描いた『比叡月映(ひえいげつえい)』、西の織物を見れば、西に連なる愛宕山を描いた『愛宕夕照(あたごゆうしょう)』が見えるという趣向です。
なお、この壁前に迫り出してきて動くそうです。
また、この夕映の間では立礼式(りゅうれいしき)という椅子に座って行うお茶のおもてなしに利用されることもあることからか、正面にはお茶道具が。
左右には『山紫水明』という螺鈿飾り台が飾られていました。
4台ある飾り台は四季を色で表していて、春は桜色、夏は緑、秋は赤茶、冬は青で表されています。春から秋は植物のイメージですが、冬のカラーは澄み切った空気を表しています。
天井にはいくつか粒々が見えていますが、これは『星空』の演出用とのこと。見てみたいですね!
夕映の間から廊下越しに見えるお庭には『廊橋(ろうきょう)』という東西をつなぐ橋が美しく見えます。
藤の間
晩餐会会場や式典に利用されるお部屋は『藤の間』です。
正面に飾られている藤は、絵ではなく京都にある川島織物さんの織物です。3.1m×16.6mの壮大なものです。
藤の花言葉は『あなたを歓迎します』。このお部屋は正面の織物だけではなく、床の敷物にも藤の花が待っていて、お部屋全体で歓迎の意を表しているという意匠です。
一角には晩餐会のテーブルの様子が展示されていて、優雅な想像を掻き立てます。
正面左手には、舞などの日本文化を紹介する舞台があります。
この舞台の幕の模様には『截金(きりかね)』と言われる伝統技能が使われています。
金箔を2枚重ね合わせて炙り、2枚の箔を重ね合わせて4枚、さらに2枚重ねて6枚と炙りながら焼き合わせていきます。そうしてできた箔を細い棒状に一本づつ竹刀でのせていって模様を作っていくようです。
繊細で美しい模様ですね
なお、この美しい藤の間の釘隠しは組紐模様。重なり合う繋がり。『心』を感じる意匠をここにも見ることができました。
桐の間
藤の間から趣のある廊下を渡っていったところにある和空間。
和食の提供に利用される『桐の間』です。
今までの場所と打って変わって純和風のおもてなしのようですが、そこは海外賓客への配慮、なんと掘り炬燵式です。
ここで注目は、12mもの漆塗りのテーブル の美しさももちろんですが、加えて座椅子の後ろに描かれた模様の色1台づつ異なるところ。
この座椅子に描かれた意匠は『五七の桐』。五七の桐は日本国政府・京都迎賓館の紋章で桐の間では、釘隠し、襖などにも描かれています。
紋章には五三の桐というものもあって、それぞれ、桐の花に当たる部分の花弁の和が名前の由来となっています。
桐の間も鴨居は外国の方のサイズに合わせて標準より高いものとなっています、桐の間とお庭の間の廊下には斜め天井があり、お庭を見る窓は、日本標準の高さとなるように計算されて作られています。
美しい日本の裏には緻密な計算が活かされているのですね。
庭園と和舟
桐の間を出て、夕映の間から見えていた『廊橋』を渡ってエントランス方向に向かうと、色鮮やかな鯉が。この鯉の多くは新潟県中越地震で被災した『山古志村』から、被災後に政府が買い取ったものだとのことです。
場所を移してもその美しさは変わりませんね。
その鯉の向こう側(写真左手)に見えているのは『和舟』です。
賓客はこの和舟に乗って、お庭の池を回られるという優雅なお楽しみがあるようです。初めてこの和舟に乗船されたのはブータン王国の国王ご夫妻。日本でも高い幸福度を感じられたのでしょうか。
日本特有のおもてなしを知って、上質のものに触れる体験。また、いつかプレミアムツアーにもいってみたいものでs
お土産販売店
京都迎賓館のツアーを終えて清和院休憩所に戻ってきたところ、なんと「よかったらみていってください。」と、お土産物販売店にお誘いが。
お土産物は絵葉書やクリアファイルといったライトなものから数千円本格和小物などまで揃っています。
私が記念に購入したのは、新商品というチャーム(900円)です。
ついつい日常の中で忘れがちになるおもてなしの心や日本人の良さと言われている心配り。このチャームを目にした時にハッと思い出せ良いなと思います。