阪急京都線の始発終着駅四条河原町から徒歩で行ける場所といえば、百貨店・大商店街など賑やかな場所。に突如ひっそりとしみじみ京懐石を楽しめるお店 近又(きんまた)に私的なお祝いで訪問してみました。
ネット予約できる京懐石
京都の料亭は敷居が高いお店も多いのですが、こちらはネット予約が可能です。
私が予約したのは一休レストランのウィンタースペシャル。昼食で1万円のコースです。カウンター席と個室がありますが、個室は最もお安くて1万円のコース。日常使いのイメージではありません(私基準で)。
場所:四条御幸通りを北上徒歩3分ほど。
冒頭文でも記載している通り、阪急河原町駅(市営地下鉄烏丸からも徒歩訪問可能)から徒歩。
フジイダイマルに近い出口を出て御幸通を北上します。
京懐石『近又』は登録有形文化財
近又に到着すると、まず掲示によりその歴史の長さを感じることができます。
京料理の『近又』は今でも三組限定/日で宿泊できる宿でもありますが、元は近江商人のための宿。近の文字は近江からきています。又は初代創業者様のお名前を取っているのだとか。
創業は1801年、江戸の11代家斉将軍の時代です。
その歴史を背景にビル街もある四条河原町付近に残る純和風の料理宿は、有形登録文化財となっているようです。
カウンター席以外に、個室は7室。
江戸時代さながらのお部屋の入り口は細く扉付近の天井も低いもの。大きな海外の方だと通れないかもというような入り口を通ってお部屋に入ります。
中は豪奢な椅子付きで快適個室となっています。
静けさとお庭の景色はとても四条河原町徒歩圏内とは思えません。
お酒類 日本酒『稼ぎ頭』と『楯野川』
お酒メニューですが、ビールは中瓶のみでプレミアムモルツだと1300円。あんず酒は水割りだと1100円でソーダ割りは1300円。
お酒のお値段にはサービス料が別途かかりますが、カウンターは10%、個室は15%と料率が変わります。
日本酒度−55度から-60度 『稼ぎ頭』
さて、1杯目を終えての日本酒。メニューの中に面白そうなものを見つけました。
日本酒度というのは、お酒の比重を表した表記で+が大きいほどスッキリ辛口方向に-が大きいほど雑味(甘味など)が多く含まれることになります。
よくみかけるのは+−が一桁のものだと思いますが、メニューの中にある『稼ぎ頭』、なんと日本酒度が-55から-60度。もうまったり甘酒みたいなんじゃないの⁉︎と思わせるような数値に見えます。
でも説明書にはビールに似た製法で?ワインのようなスッキリとした味わいとあり。もう甘いのか苦いのかよく分からずで…..。甘党でビールの飲めない私としては、7:3の水割りで頼んでみることに。
作られている酒造会社は増田德兵衞商店さん。伏見を訪問した時にいただいた『月の桂』の酒蔵でした。
綺麗なグラスに注がれた水割りの稼ぎ頭は、とても甘やかでふんわりと口内にお米の香をもたらします。
日本酒初心者の方や甘党の方、海外の方にもピッタリな柔らかい甘味のお酒でした。
精米歩合1%究極のお酒の酒造会社さんが作った『楯野川』(日本酒度+8)
さて、日本酒度の飲み比べとして、+方向のお酒で大吟醸を。山形のお酒ではありますが、実は不思議と私の中で伏見と繋がっている『楯野川』(日本酒度+8)を選択しました。
なぜ、伏見繋がりなのか。それは伏見でこの冬に訪問した日本酒講座。
この講座の中で学んで心の底でずっと気になっていた『精米歩合1%』究極にお米を削ったお酒を出されている酒造会社さんが楯の川酒造さんだったから。
その楯の川酒造さんが作られた大吟醸はスッキリしていますが、甘党にもいただける美味しさでした。
(近又さんではボトルは提供されず、言葉とイメージだけとなりますが)。
京懐石 七品
さて、本題のお料理は一休のウィンタースペシャルの七品コース。こちらはサービス料込10,000円。通常の昼食時間帯9,000円(サ別)と同程度だとすると個室でいただく場合の最もお手頃なコースとなります。
白酒
ひな祭りは終わっていますがということわりとともに出されたのは白酒。まったりしたお味でした。社会人生活も長ーくなると3月は年度末といった季節感となりがちの所、ああひな祭りの月だなと再確認させてくれますね。
前菜3種
前菜はわけぎと貝の和物、胡麻豆腐と聞き漏れたのですが山菜(山菜自体は苦味強っ)の天ぷらでした。
山菜の天ぷらはお味噌で苦味が中和されたのでたっぷり目に味噌をつけるのが正解?と思いながらいただきました。
お造りとストロベリートマトというほおずき
鯛のお造りとしゅっとりとした生湯葉ともに出てきたオレンジ色の球体が入ったもの。
これは『ストロベリートマト』という名前のほおずきだそうです。名前から言うとトマトでなければおかしくない?と感じますが。
味は甘味があって果物をいただいている感じです。
器はお祝いごとに合わせた富士の描かれためでたいものです。
天ぷら
天ぷらは、山菜づくしでした。
こごみ、うど、タラの芽とのことです。
お塩か辛子酢味噌でいただくようになっています。
サービス・赤飯
お祝いごとだとお伝えしていたため、次に出てきたのはお赤飯と紅白なます。こちらはサービスだとのこと。
出汁までいただける聖護院大根と芽キャベツの炊き合わせ
次は京料理らしい逸品、聖護院大根の炊き合わせです。
お出汁の味は鰹。じんわりお出汁の味を楽しむのが京都という感じですね。
名物:穴子の蒸し寿司
そしてこの懐石のメインとなるのは穴子の蒸し寿司。温かいお寿司という不思議な感じですが、京都育ちの方は懐かしくいただいたというお話もあるとのこと。京都名物なのかもしれませんね。
そしてまったりとろりの白味噌のお味噌汁。中に浮かんでいるのはなんだかさつま揚げのようなお味でした。
菱餅羊羹とお抹茶
〆になるのは、またひな祭り気分に戻って菱餅羊羹とお抹茶でした。