京都を公共交通機関で旅行する場合、ちょっとした空き時間に何をするか迷うもの。四条通りはお店も多く、福寿園さん本店などもあって、楽しいのですが、今回のご紹介は少し人混みから離れて観光気分を味わうために六角堂と近隣カフェのご紹介をします。
阪急電鉄烏丸(地下鉄四条と同駅)や京都市営地下鉄の乗り換え駅となる烏丸御池から、ほんの数分の徒歩観光です。四条通り付近は車も混雑するので、地下鉄+徒歩は時間を有意義に使えると思います。
紫雲山頂法寺(六角堂)
六角堂は通称
六角道というのは『通称』。本堂の形が六角形をしているため、紫雲山頂法寺は通称で六角堂と呼ばれているようです。
ただ、名前として有名なのは六角堂の方。道路標識を見ても六角堂のある通りが六角通となっているように、メジャーな呼び方となっています。
飛地境内の鐘楼堂
烏丸通(南北に通っている通り)を六角通(東西の通)に入ると、右手に六角堂の手前に鐘が見えて、ここが六角堂かと思ってしまいましたが、現代の建物に囲まれたこの鐘は、境内から少し離れた飛地境内。
門は少し歩いた右手(北)側となります。
鐘楼堂の読み方は『シュロウドウ』または『ショウロウドウ』。鐘楼だけで鐘をつるすための『建物』を指す言葉です。
また、飛地境内とは『トビチケイダイ』と読み、行政区画では、主となる境内と別の場所にあるものの、神社やお寺としては『境内』に含まれる場所のことです。
六角堂の始まりは聖徳太子から
六角堂はもともと、聖徳太子が四天王寺の材木を集めるためにこの場所を訪れ、池で身を清めようと、念持仏を木にかけたところから始まります。
お寺の五色の幕の意味
六角堂の本堂には五色の幕が掲げられています。
六角堂に限らず、このカラフルな幕を見かけることはないでしょうか。
実は、この五色の幕は『寺院』で特別な行事の時に取り付けられるもの。
今回六角堂では、聖徳太子千四百年大遠忌の法要期間中のため掲げられているのだと思います。
各色には指し示すものがあり、五色揃ってお釈迦様そのものを示すものです。
- 紫(または黒)……袈裟
- 緑(または青)……髪
- 黄……身体
- 赤……血液
- 白……歯
六角堂は『いけばな』発祥の地
いけばなといえば『池坊』(イケノボウ)。日本人では知らない人がいない流派ですよね。日本最古の流派で全ての流派の源流となっている『池坊』。
その発祥の地がここ六角堂です。公式HPに池坊発祥の由来が記載されていました。仏様に供えるお花がいけばなに発展していったのですね。
六角堂の北側に、聖徳太子が身を清めたと伝えられる池の跡があります。この池のほとりに、小野妹子を始祖とする僧侶の住坊があり、「池坊」と呼ばれるようになりました。代々六角堂の住職を務める池坊は、仏前に花を供える中でさまざまな工夫を加え、室町時代の「いけばな」成立に至ります。東福寺の禅僧の日記『碧山日録』には、寛正3年(1462)に池坊専慶が花を挿し、京都の人々の間で評判になったことが記されています。
六角堂公式H P
発祥の地というだけではなく、池坊家から代々の住職さんも出ているのですね。
白鳥は『噛みます!』
六角堂には池があり、優雅に白鳥が泳いでいますが。
その手前には『噛みます』の看板が。白鳥って意外と凶暴なんですね。
太子堂と親鸞堂
池の辺りには太子堂があり、聖徳太子がお祀りされています。
また、聖徳太子を尊敬して六角堂に参籠し、浄土真宗を開いた親鸞像がお祀りされている親鸞堂もあります。
合掌地蔵と十六羅漢
この正面にいる合掌地蔵さまはお参りに来た人の願いを一緒に祈ってくれるそう。そしてその横にいる十六羅漢はあらゆる場所に仏の教えを護り伝えることのできる優れた僧侶がいることを示す像です。
旧日本銀行京都支店金庫室にある前田珈琲
六角堂から北東方向に徒歩5分行くと京都文化博物館があります。
別館として日本銀行京都支店の建物もあるようですが、外から見えない中庭はおしゃれな休憩所でした。
そして休憩所の一角を見ると、扉の面積に似合わないほど重厚な扉を持った入り口があります。
前田珈琲のロゴマークの意味
この扉のマークは京都で創業五十年の『前田珈琲』のマークです。
前田珈琲のロゴマークですが、漢字かと思いきやなんとアルファベット。
左上部分がm。中央上部が縦にaとe、右上がd、そして下部全体がAでmaedAなんですね。
前田珈琲さんは素敵な立地にお店をたくさん出店していらっしゃいますが、カフェだけでなく、私が二条城で最も美しい景色だと思っている清流園茶房前田も前田珈琲さんのお店ですね。
ここのカフェも日本銀行京都支店の金庫室という歴史感じるシチュエーションのお店です。大阪のパンとエスプレッソと堺筋倶楽部も旧銀行の建物を活用したレストランで、中の金庫室らしきところを展示場とされていましたが、こちらの前田珈琲 文博店(ブンパクテン)は、金庫室そのものに入っていくということ。重厚な扉スペースも頷けますね。
中のインテリアもエレガントです。珈琲の種類はいくつかあって高いものは900円。前田珈琲自慢のスペシャルブレンド「龍之介」は530円でした。
この価格で金庫室で珈琲を楽しめる贅沢を味わえるって最高ですね。