『みんなのまち大阪の肖像』は2期制
みんなのまち大阪の肖像の企画展は以下の2期に分けて実施されていました。今回は2期制の2期となります。1期の記事はリンクからどうぞ。
2期のみを見学の場合の入場料は1200円となります。
2期:2022年8月6日〜同年10月2日 昭和戦後・平成・令和がテーマ
館内は原則撮影禁止(家電・住宅のコーナーと一部のみ可)です。
始まりは戦後焼け野原からの復興
商業都市として隆盛を極めた大阪。その後第二次世界大戦へと繋がっていくところまでが1期でしたので、2期の始まりは戦後。
大阪は大空襲にあったため、焼け野原から自治体主体で復興した様子が描かれます。写真撮影可能な展示には大阪三十六景があり、明るい大阪の様子も見て取れます。
大阪三十六景
大阪三十六景は、1947年(昭和22年)の赤松麟作さんの作品。戦争から10年も経たず、このような都会の風景となっていたことに驚きました。
中央公会堂など、この時期の建築は現在はレトロ建築として観光の名所ともなっています。
『昭和の住宅の世界』を楽しもう
2期展示の目玉となっているのは、昭和の住宅。一定以上の年齢の方には記憶の中にある光景となっているかもしれません。
昭和の住宅といってもモデルケースは1975年(昭和50年)。今でもその頃に建てられた住宅にお住まいの方も多いかと思います。このぐらいの時代のものが美術館に歴史っぽい建築として展示されていることに驚きます。
積水ハウスさんが建てられたこのモデル住宅は当時の最先端で、世帯年収250万円の方が建物だけで800万円の家を建てられたという設定のようです。モデル夫は33歳(大手電機メーカー勤務)・妻は専業主婦・子供2人という保険会社が設定したくなるほどの標準家庭想定。
一億総中流という言葉が思い浮かびますが、令和の今見ると良い時代だったんだなとも感じます。
木製の玄関ドアは高級タイプ。玄関ドアの付近に欄間や袖ガラスがあることが特徴のようです。
玄関ドアを入ると下駄箱。当時のものは住宅作り付けではなくて、別購入して置くものが主流だったとか。つい最近の仕様と思いつつ、確かに言われてみれば現在のものは作り付け。時代は変わっているのですね。
リビングルームはフローリング。カーペットからフローリングが主流になっていったのは、合板フローリングのおかげ。合板フローリングは熟練の大工さんでなくても施工しやすいものだそうです。
この立派な家具調カラーテレビ(カラーテレビという表現自体が今や昔ですね)。画面の大きさは23型。今の液晶テレビに置き換えると『小さく』見えるのだと思いますが、家具調テレビは存在感がありますね。
隣のセパレートステレオは、Technicsブランドのセパレートステレオ1号機だとか。33歳の世帯主の家庭としてはかなり良い暮らしぶりを感じます。
ダイニングキッチンというお部屋のあり方は、元々公団住宅からはじまったそう。主婦が孤独に家事をするイメージから脱却されたのかもしれませんね。当
時の『最新』を表しているのが2ドア冷凍冷蔵庫。冷凍食品が発展したのは大阪万博からだとか。
なお、大阪の地場産業としての商品は『象印マホービン』さんのハンドポット。こんなに時代が進んだ今でも保温・保冷ができるものを『魔法』瓶と呼んでいるのは考えてみるとすごいですよね。
その魔法ネーミングでいくとタブレットなんて『超上級魔法板』になりますね。運動場いっぱいぐらいの魔法陣を描いて出てくる姿を想像してしまいます。
でも、便利になりすぎた今より、この後に出てくる昭和家電の世界ぐらいの方が、今までの不便を劇的に変化させる『上がり幅』が大きかったため魔法と感じたのかもしれません。先人の知恵の中で楽に生活をさせてもらっているありがたみを実感するいい展示ですね。
水回りに展示されているのはに二層式洗濯機。洗濯部分と脱水部分は同時に動くというのを、恥ずかしながら記事を書くために解説を見て初めて知りました。時短洗濯機なのですね。
ユニットバスは、ホテル向け製品が始まりで、日本発祥商品だとのことです。水回りは銭湯などほとんどない現在ではなくてはならない存在。リフォームも楽にできるユニットバスは偉大な商品ですが、それが日本発祥とは!モノづくり日本を賞賛したくなります。
『昭和家電』の世界を楽しもう
この住宅展示に続く展示は、昭和家電。
家電が高級なものだったからこその重厚な作りを見て楽しめます。なんとなくですが、壊れにくい長持ちしそうなイメージもあります。
また、ノスタルジックな気分に浸れるラジカセなども展示されています。
住宅の中にあった家電はなんとなく見たことがありそうなものですが、家電の中には見たことのないアイデア商品的なものもあります。
中でも家族団欒楽しそうな生活が思い浮かぶのが、この商品。なんだろうと思って近づくと『カプセルレンジ』だとのこと。ホットプレートより油も飛び散らなさそうですから、利活用シーンを考えると楽しくなってしまいます。
あと、どういう利用想定かが、私にはわからなかった『自動ハサミ』。洋裁などに使うのでしょうか。
旅行家電として少し興味深く見たのは『ひげドラ』。シェーバーとドライヤーがセットなのだとか。消費者ニーズを掴んだ後どうなったのでしょうか。
こういう組み合わせ家電は片方が壊れると両方使わなくなる点はネックかもしれませんね。
あと、便利そうなのは『うすドラ』。超コンパクトドライヤーです。風量がわからないので、乾きにくかったのかもしれないと思いますが、キャンプや海外バックパッカー旅行など今でも利用シーンありそうです。
昭和を懐かしむ世代にも喜ばれるガチャガチャ
この展示会、出口付近には1回500円のガチャガチャがおいてあり、昭和家電のフィギアが出てくるようになっています。
微笑ましかったのは、このガチャガチャを楽しそうに回される高齢といって良いご婦人二人組の方の楽しそうな笑顔。日頃ガチャガチャをおそらく回されてないような年代の方にも思わず引かせてしまう、昭和家電にはおそらくそんな魅力もあるのでしょう。
もしかすると実体験として不便さから脱却された日などを思い描いておられるのかななど、側から見ている私も楽しい気分で展示を見終えることができました。
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