大阪空港について調べる都度気になっていた『大阪空港ワイナリー』。営業時間が11時〜21時と早朝出発・夜帰りの短期間旅行が多く行く機会を失っていたため、ワイナリー見学のためだけに大阪伊丹空港を訪問してみました。
訪問先は『大阪空港』そのもの。近隣ではなく、旅客ターミナルビルの制限区域外(飛行機に搭乗しなくても訪問できる場所です。)。フロアはお店の最も多い2Fではなく、大阪空港ホテルの入り口やレストランが数軒並んでいる『3F』にあります。
一般のワイナリーのイメージ
今まで訪問したワイナリーのイメージは以下の写真のようなものではないでしょうか。緑に囲まれたワイン畑に、カントリー調の建物が並んでいて、広々としているイメージ。
一般的なワイナリーの情報は過去の旅行記をご参照ください。
新潟カーブドッチワイナリー(他の旅行記と合わせた記事となっています)

大阪空港ワイナリーはこんなところ
でもここは大阪空港。ぶどう畑が広がるはずもなく。
展望台に出るともちろんワイナリーより広い空間は広がっていますが、その空間は飛行機のため。
確かに屋上展望台付近に緑はありますが、ぶどうは植えられていません。
(余談ですが、お庭にいるキャラクターは大阪伊丹空港の公式キャラクター『そらやん』です。)
でも、ぶどうは収穫しなくても飛行機に乗ってきてくれたら、空港内で醸造できるという発想なのか、醸造蔵が旅客ターミナルのお店の中にあります。
外観はワインバルそのものといった感じですが、ここがワイナリーが併設されているという表記はしっかりされています。
店内に入るとカウンター席と、テーブル席がいくつか。
そのカウンターの向こうガラス越しに見えているのが、ワイナリー(醸造所)です。醸造タンクは5つ。お米を蒸して、麹を加えて糖化させてから発酵が必要な日本酒と異なり、ワインは単純発酵。
ぶどう自体の甘さで発酵を促すことができるためこのスペースでも醸造が可能となるのでしょう。
ちなみに京都で最も敷地面積が狭いという松井酒造さんにちょうど訪問したところですので、写真の差を見比べて見ても、大阪空港ワイナリーはかなりコンパクトだと思います。
醸造樽の前の醸造工程解説パネル
訪問してもカウンターに人が座っていると見えにくいため、解説パネル写真を以下に掲載いたします。
①まずぶどうの調達ですが、来てもらうのではなく『探しに行く』という発想でした。
そして入荷されたぶどうは、手回しで実と茎が分けられます(この茎と分ける工程が除梗(じょこう)、粒となったぶどうを荒く潰すことを破砕と言います。
そして、バスケットプレスで搾汁(さくじゅう)。上から圧力をかけて果汁を下に落とすプレス機で搾るのですが、大阪エアポートワイナリーは手動でプレス機を回しているようです。
そして、醸造樽の出番!発酵・醸し(かもし)です。
赤ワインは開放タンクで発酵させるそう。
そして朝・晩、醸し作業(発酵タンクの中で、果汁に果皮や種子を漬け込む作業のこと)を行います。
エアポートワイナリーのステンレスタンクの容量は600ℓ。その中で、朝晩発酵具合を見て、アルコール度数を測る作業を繰り返し1〜2ヶ月発酵させます。
そして、濾過作業。『ワインを磨くというかっこいい言い方もあります』と書かれている濾過作業はフィルターにかけて澱(おり)や雑味を取り除く作業を行うため、貯蔵タンクから空のタンクに移行させます。澱というのはタンニンやポリフェノールなど、成分が結晶化したもの。
害はありませんが、取り除かないと舌触りやワインの色などに影響がでます。
そうして出来上がったワインは瓶に詰められ、コルクで栓をされたあと、キャップシールで封緘されます。
そして『エチケット』の貼り付け。ワインの外側に貼り付ける『ラベル』のことをフランス語で『エチケット』といいます。
エチケットとは礼儀作法のこと。元々宮廷に入る時の礼儀作法を貼り付けた札のことを指した言葉が、そのままワインのボトルの札を指すようになっています。
大阪伊丹空港で作られたエアポートワイナリーブランドのエチケットは、『ITM』(大阪伊丹空港を表す3レターコード)で、旅行気分まで楽しめるワクワクするものでした。
マリアージュセット・赤ワインソースたこ焼きを
エアポートワイナリーは醸造コーナーよりも広い面積がワインバルとなっています。そのメニューは、ワインと合わせることを考慮したお料理と不定期に変わるというワインラインナップから。
ワインは1杯づつ選ぶこともできますが、おまかせ3種類とオードブル3種のセットがお手頃(1500円)。更に、ここは大阪。ソウルフードのたこ焼きのソース隠し味に赤ワインが使われたものというのも気になったためオーダー。
マリアージュセット(1,500円)
マリアージュセットはこちら。
写真のワイン一番左が、ここエアポートワイナリーで作られた『シャルドネ』・中央が深川ワイナリー東京で作られた『マスカットゴルドブランコ(オーストラリア産マスカット利用・今年収穫されたもの=ヌーヴォー)』・左が再びこちらで作られた『マスカットベリーA(ライト)』です。
エアポートワイナリーのシャルドネ(白)はちょっとした酸味。甘さはあまりなく軽い感じです。
それと比較して、深川ワイナリーのマスカットは、苦味が少し強くなって甘味は少しで尖った感じ。
そしてエアポートワイナリーの赤は、私は甘党で、普段赤ワイン苦手なのですが、こちらのものは軽く、オードブルのパテドカンパーニュをまったりといただきながらですと、するりといただけました。
合わせるオードブルは左から、カポナータ(野菜のトマト煮込み)・カプレーゼ・パテドカンパーニュです。
赤ワイン仕立てのこってりソースたこ焼き(750円)
そして、赤ワイン仕立てのこってりソースたこ焼き。普段たこ焼きを食べ慣れた生粋関西人の私にも美味しくいただけました。
外側のカリカリ具合と中のトロトロ具合の兼ね合いが良い記事と、淡い色合いながら主張の強い赤ワイン仕立てのソース。焼き立てたこ焼きとワインのマリアージュ。ぜひお勧めしたい品でした。
大阪エアポートワイナリー、遠方から大阪旅行時にご利用の方など滅多に行けない方は予約をして訪問を。調べてみたところ食べログでは予約できました。