大阪『海遊館』の見どころで学ぶ! 『海域』と『深さ』を考えて世界の海をアカデミックな世界有数の屋内展示

近隣では2021年神戸のベイエリアに新たにできた水族館atoaは光と演出で写真撮影に最適化をしている雰囲気がありますが、30年前から大阪ベイエリアに存在する海遊館は全く異なる雰囲気。

世界有数の屋内展示面積を誇り、生物観察をするための施設として、いるかやアシカなどの『ショー』もない、アカデミックな側面も持つ大型水族館です。オープンから30年間の間にも何度か訪れたことがありますが、入場制限がある今は混雑せず、ゆっくり海の様子を眺めることができました。

地下鉄中央線大阪港駅から徒歩10分

地下鉄中央線『大阪港』駅から徒歩10分。北側に向けて歩いて向かいます。

(コートヤード大阪本町からは中央線で一本です。)

通常期は海遊館入場と地下鉄のチケットがセットとなったお得な切符も販売されているのですが、入場制限期間中のためか販売が停止となっていました。

一本道で海遊館に近づくと、邸宅風結婚式場の式場があったり、大観覧車があり目印だらけですので、迷う心配はおそらくありません。

邸宅風結婚式場
観覧車

海遊館の隣にはマーケットプレイス(ショッピングモール)あり

レゴのキリン像

キリン像の首にかかっている看板の『天保山マーケットプレイス大阪』とは海遊館の隣、駅に帰る途中に寄れるショッピングモールです。飲食店も多く入っているため、時間に余裕があれば海遊館の前後にどうぞ。ただ、海遊館よりオープン時間が遅い場合がありますのでご注意を。

(2022年1月時点では、海遊館は9時30分オープン、天保山マーケットプレイスは11時オープン)

天保山マーケットプレイス

海遊館入館料は大人2400円

海遊館の入館料は大人2400円(子ども 1200円)。公式HPでバックヤードツアー等とセットになったチケットが販売されています。(現在は入場制限があるため公式HPで購入するか、現地チケットブースで購入するのが正解だと思います。)

チケットブースは、象徴的な海遊館の建物に向かう右手にあり、入場口はチケットブースの隣となります。

海遊館

アカデミックに巡ろう!『海域』『深さ』を感じながら観察をする理解が深まる

初めて海遊館に行くと、大きな展示物に気分が高まって、「かわいーっ」などと感じながらずっとり、終盤になって、ああ、この水槽初めの方にみたあの水槽の底の方かあと気づくことがあります。もう一度上を見に行ってみて確かめたい!などと思っても逆流はできず…..。

ということになってしまうため、海遊館を巡る場合『海域』チェックは欠かせません。水槽の近くに『太平洋』や『ベーリング海』『瀬戸内海』のような海の名前が書いているのを確認してから観察すると海域とセットで観察すると良いかと思います。

以下、帰りにミュージアムショップで購入した『海遊館ガイドブック』(1100円)を参考文献としてその内容を熟読しつつ、地域のごとの情報を記載させていただきます。

海遊館ガイドブックは、読むだけで世界の海を探索でき、いろんな赤ちゃんの子育てレポートねど面白い記事も多いので、訪れた際はお土産に買うと良いと思います。

帰ってこのガイドブックの素晴らしい写真の数々を見た時には、自分の撮影写真との差に落ちこんでしまいますがね……。

アカデミック海遊館巡り1. 日本の森

海遊館の展示は日本の森から始まります。コツメカワウソやアマゴ、サワガニ、サギなどと出会える場所となります。

海遊館 日本の森

かつていたニホンカワウソ

昔の日本には『ニホンカワウソ』が生息していたようですが、絶滅の恐れのある種となっており生きたニホンカワウソは今見つけられていないようです。

海遊館にはニホンカワウソにも想いを寄せてコツメカワウソを展示されているそうです。(見学したタイミングではコツメカワウソも見つけられなかったのですが、たまたま隠れていたのだと思います。)

日本の森は澄んだ水が特徴的

日本の森は岩やコケと澄んだ水が特徴。綺麗な水は生物への恵を感じます。入った瞬間、心が洗われる雰囲気です。

澄んだ水の状況

アカデミック海遊館巡り2. アリューシャン列島

アリューシャン列島。私は単語としては聞いたことがありましたが、具体的にどこ?と問われると全く知らないことに気づきました。おそらく、テレビなどでなんとなく聞いた言葉だったのだと思います。

アリューシャン列島はアメリカ合衆国 アラスカ州

アリューシャン列島を世界地図で見ると、アメリカ合衆国のアラスカの中では、日本の列島に向かって袖を伸ばしたようななんとなく繋がりを感じる列島でした。

エトピリカ….泳ぐの速すぎて。

アリューシャン列島の地域のおそらく見所は「エトピリカ」ウミスズメ科の鳥です。展示は地上と海中の様子をみられるようになっていますが。

海中速すぎて、写真に上手に撮るのはかなり難しそうです。下の写真で速さは伝わりますか?パタパタと飛ぶのではなく「スーッと」通り抜ける飛び方を海中でもしているように見えました。

エゾピリカ

エゾピリカの名前の由来は「美しいくちばし」。その名前の通り、黄色のくちばしが海中でも鮮やかです。

アカデミック海遊館巡り3. モンタレー

個人的にはモンタレー湾という名前は記憶には全くありませんでした。

モンタレー湾はアメリカ合衆国カリフォルニア州

地図で確認すると海遊館とは太平洋を介して真向かいにある湾のようですね。

場所はアメリカ カリフォルニア州となります。

アシカとアザラシってどう違うの?

ここには『カリフォルニアアシカ』と『ゴマフアザラシ』がいますが、アシカとアザラシの違いは『耳たぶ』がアシカにはあってアザラシにはないという違いと泳ぎ方や歩き方も違うようですね。

アシカとアザラシ泳ぎ方の違い(人間でいうと手で掻くか足で掻くかの違いのよう)

カリフォルニアアシカは、後ろ足で舵を取り、羽ばたくように『左右の前足を同時に振り下ろす』感じで泳ぐようです。

対するゴマフアザラシは前足で舵を取り、後ろ足を交互にひらいて左右にくねらせて泳ぐそうです。

カリフォルニアアシカ
ゴマフアザラシ

アシカとアザラシ歩き方の違い這うのか、歩くのか)

カリフォルニアアザラシは後ろ足で体を支えながら前足を交互に出すよう。

対するゴマフアザラシは胸とつけたあと、お腹をつけてとして這って移動します。スピードアップしてる時も基本は這う動きを跳ねながらしているだけのようです。

アカデミック海遊館巡り4. パナマ

『パナマ』と聞くと思いつくのはパナマ帽。つば付きの帽子をまず思い出すのは私だけでしょうか。なんとなく陽気なイメージを持っています(行ったことがないので、本当に陽気かは不明ですが)。

パナマ湾は 中央アメリカのパナマ共和国

パナマ湾はカリブの国パナマ共和国の太平洋側にある湾。有名なパナマ運河はパナマ湾・カリブ海・大西洋へとつながる運河のようですね。

緯度9度の熱帯季節林

写真が下手すぎて伝わらないかもしれませんが、緯度9度の熱帯季節林エリアは雨季と乾季のある気候。海遊館では乾季の様子を展示しているとのことです。写真撮影できませんでしたが、地上にはアカハナグマ、水中にはふぐなどもいます。

パナマ湾水中の様子と垣間見る地上

アカデミック海遊館巡り5. エクアドル熱帯雨林

パナマよりももっと南下したエリア。インドネシアやパプアニューギニアと同じような緯度にあるエクアドル。

エクアドルは南米のアマゾン川へと流れる雨を受ける場所

コロンビアとペルーに囲まれたエクアドルは太平洋に面した国です。このエクアドルの山脈から大西洋に向けて流れる『アマゾン川』に雨が流れ落ちており、熱帯雨林地方となるこの地域は生物の種類が最も多い地域です。

実は草食 グリーンイグアナ

グリーンイグアナが地上展示されていましたが、実はこのイグアナ水中を泳ぐこともできるそう。虫などを狩っているようなイメージの外見ですが、実は草食だそうです。

グリーンイグアナ

アマゾンらしい光景アロワナ科ピラルクの名前の意味は

アマゾンらしい光景といって思いつくのは、アロワナ。このアロワナ科のピラルク、成長すると体の後ろ側が赤くなってくるそう。ピラルクのピラは魚、ルクは赤という色のようです。

余談:ピラニアのピラも魚という意味なのかとネットで調べたところ、ピラは魚、ニアは歯という意味だそうです。

ピラルク

アカデミック海遊館巡り6. 南極大陸

南極大陸は地図で示すこともないと思いますが、もちろん南極点の周囲の大陸。メルカトル図法で書かれた地図で見ると氷の世界で覆い尽くされているように見えるのですね。南極大陸、実際はヨーロッパの1.3倍ぐらいの大きさのようです。

南極大陸のペンギンたち

海遊館の南極大陸エリアでは3種類のペンギンたちが暮らしていました。

南極大陸の付近の気温は−80℃の世界になることもあると言いますが、ペンギンたちは厚い脂肪で覆われて体温を維持しているようです。

首元が黄色いものが『オウサマペンギン』。足下は黒色です。ペンギンは全18種いるようですが、上から2番目に大きいペンギンだそうです。

くちばしも足も黄色いところがないペンギンが『アデリーペンギン』。写真で見るとオウサマペンギンよりだいぶん小さいのがわかるかと思います。体重も半分以下ぐらいとのことです。

もう一種、くちばしと足が黄色いものが『ジェンツーペンギン』。オウサマペンギンは産卵の時に通常卵を1個産むようですが、アデリーペンギンとジェンツーペンギンは1回の産卵で通常で2個の卵を産むそうです。

オウサマペンギン
オウサマペンギンと手前のアデリーペンギン
ジェンツーペンギン

地上ではポテっとしているようですが水中では?

ペンギンの水槽は深く、水中深くの様子を見学できるスポットもあります。水中でのペンギンの泳ぎは凄まじく早く、カメラが追いつかないほどです。

ペンギンがフリッパー(翼)を広げるのは何のため?

寒いところにするペンギンは通常熱を逃さずにいられるように羽に覆われています。そのため、暑くなるとフリッパーを広げて冷たい空気を当てているそうです。覗いている私たちを威嚇しているわけではないのですね。

フリッパーを広げるペンギン

ふれあいコーナー休止中鑑賞のみ)ではイワトビペンギンも

南極大陸のコーナー以外にふれあいコーナーのところにも近くにイワトビペンギンが沢山います。気性が激しいらしいので、中央で2羽向かい合っているのは争っている?ということでしょうか。

アカデミック海遊館巡り7. タスマン

タスマン海はニュージーランドとオーストラリアの間。ここの海は赤道側からは暖かい海流、南極側からは冷たい海流が混じり合う地域。とのことです。

カマイルカとコミカルな時間を

水面近く、水中の観察エリアにはカマイルカ用のおもちゃが置いてありました。浮きとホースで作られた簡単な作りのものですが、カマイルカは熱心に長時間遊んでいました。

カマイルカ

アカデミック海遊館巡り8.グレートバリアリーフ

海外旅行好きな方には説明不要かというほど有名な、広大な珊瑚礁のグレートバリアリーフ。場所は、オーストラリアの北東にあります。

サンゴは植物じゃない!?

サンゴは生きているとよく聞くけれども、なんとなく植物だと思っていました。が、実は『刺胞動物(シホウドウブツ)』というくらげやイソギンチャクの仲間だそうです。プランクトンを取り込んで消化して石灰分を分泌するらしいです。

確かに人間の骨も生まれた時から大きいわけじゃなくて、食べ物から作られているしなあと、よくわからないながら納得できました。

ちなみに海遊館のサンゴは本物ではなく人工珊瑚だそうですが、トロピカルな海の雰囲気は味わうことができます。

グレートバリアリーフの魚たち

アカデミック海遊館巡り9.太平洋

海遊館といえば『太平洋水槽』と誰もが思うほど、海遊館の中心にある大きな水槽。海遊館では巨大で深さもある太平洋水槽の周りを上から下に降りながら観察できます。

海遊館に来てジンベイザメを見ずには帰れない

魚類のなかでは最大の『ジンベイザメ』。ここ、海遊館のシンボル的存在です。下から見上げた時にちょうど餌やりタイムだったようで、写真の黒く見えているヒレは人の足ビレです。ジンベイザメが太平洋水槽の魚を食べ尽くすなんてことはもちろんなく、食べているのはプランクトン。海水ごとどかんと吸い込んで、エラの内側で餌をこし取って食べるそうです。

結構なスピードで人を追いかけているようにも見えました。餌やりシーンをみたい方は10時30分からか15時から餌をあげているそうです。

ジンベイザメ餌やりシーン(と思いますが追いかけてるだけ?)
ジンベイザメ餌やりシーン(と思いますが追いかけてるだけ?)を前から

真近に迫るエイや、大群の魚たち

太平洋水槽の周りを歩いていると常に景色が移り変わっており、時にはど迫力のエイが真近に迫ってきたり、遠目に魚たちの大群をみたりということもあって、改めて水槽の大きさに感動します。

壁に近寄るエイ
大群の魚たち

ベンチに座って眺めるのもおすすめ

太平洋水槽は下の方に行くとベンチが置いてあり、大水槽をゆったり眺める時間も取れます。沖縄の美ら海水族館は水槽を見ながらカフェが楽しめたと思いますが、海遊館は水槽の前では飲食禁止。ただ、ただじっくり観察しましょう。

太平洋水槽を眺められるベンチ

アカデミック海遊館巡り10. 瀬戸内海

急に身近な場所になって瀬戸内海。穏やかな海の世界ですね。関西に住んでいると瀬戸内海はもちろん地図入らずで知っていますが、遠い距離の方もいるかもしれませんので地図を。瀬戸内海は、関西中国地方と四国に挟まれた海となります。

タコは自分で壺に入っていく

兵庫県民だと、瀬戸内の海ときいて、なんとなく明石のたこを思い浮かべる人もいるかもしれません。タコ漁はつぼを仕掛けると言いますが、タコは夜になると活動しますが、昼間は岩陰で潜んでいるといいます。

しかもタコは綺麗好き綺麗なつぼを鎮めておくと自然に入ってくるという習性がありました。

たこつぼに入るタコ

アカデミック海遊館巡り11. チリの岩礁地帯

チリは南米の縦に長い国。太平洋に面した沿岸地域もかなりの長距離で存在します。

無数のイワシの群れ

チリの岩礁地帯は、深海からの栄養が沸き上がり、南極からの冷たい海流が流れる地域で大量のプランクトンが発生します。このプランクトンを餌にするイワシが大量に集まり、そのイワシを狙ってペンギンが集まりと数多い生物が生息しています。

チリ岩礁地帯

アカデミック海遊館巡り12. クック海峡

クック海峡はニュージーランドの北島と南島の間にある海です。

北島は火山活動があり、南島は氷河が残っているという地域に挟まれた厳しい環境。

アカウミガメとアオウミガメの見分け方

クック海峡の展示エリアではウミガメの姿を見ることができます。ウミガメにはアオウミガメとアカウミガメがおり、赤ウミガメは甲羅が褐色で頭が大きく、アオウミガメは濃い緑色をしているということです。写真のウミガメはアカウミガメ?かと思いますが、自信がありません。

ウミガメ

アカデミック海遊館巡り13. 日本

日本海溝は東日本の海岸線と並行して太平洋底にある海溝。

深海の光の届かない世界には、深海生物がいます。

脱皮するタカアシガニ

深海生物の一種であるタカアシガニは世界最大のカニ。足を広げると3m以上になるそうです。カニを覆う硬い殻は成長に合わせて古い殻が大きくなるわけではなく、脱皮して古い殻を脱ぎ捨てて、成長して大きくなります。そのあと、体に貯蔵していたカルシウムを殻に送り込んで固くしていくそうです。

タカアシガニ

アカデミック海遊館巡り14. 海月銀河(クラゲギンガ

ここは海域を示して展示しているわけではなく、海月(クラゲ)の神秘的な世界観を表して表現したと思うエリアです。

クラゲだと思っている姿はクラゲの人生の一部

クラゲのイメージは代表的なものはミズクラゲで海の中をふわふわと漂っているイメージがありますが、そんな姿をしている時はミズクラゲの人生のほんの一部だそうです。

受精卵はプラヌラという0.1mの物体でそのあとはイソギンチャクのような形、ポリプという形となって岩場で暮らしているそうです。

なんとそのポリプが分裂したりしてクローンを作って増えていくとのこと。

そのポリプ成長してストラビラというカップを重ねたような形となり、カップの一枚づつが剥がれて行って、エフィラという雪の結晶のような形で再び岩場から水中の世界へ。そのあと、クラゲらしい形に成長するとのことでした。

本当に不思議な生態ですね。

アカデミック海遊館巡り15. 北極圏

北極圏の定義

北極圏はなんとなく北極のあたりと思い描いていますが、考えてみると北極には大陸もなく、ではど個までを北極圏というのかというのは考えたこともありませんでした。北極圏には定義があって少なくとも1年に1日、太陽が昇らず沈まない日がある地域と定義されているようです。

北極圏を体感

海遊館の北極圏展示エリアは、新体感エリアという、見るだけではなく感じるエリアの一環としてあります。

そのため、このエリアに入ると温度が下がる感じがわかります。極寒でないのは北極圏の夏ということかな?と思います。

クリオネ

アザラシは下から見るか、上から見るか、両方見るか。

このエリアではクリオネなど、北極圏の生物の展示がされていますが、頭の上、天井を見ると氷に穴が空いているエリアが。そこは、上階にあるアザラシ展示の底を眺める仕様になっていています。

アザラシを下からみると?

北極圏エリアを抜けると上階に上がる階段があり、上ると。ヒョコンと出した可愛い顔を鑑賞することができます。

アザラシを上から見ると?

水族館訪問前後に読みたい小説『水族館ガール』

最後に、読んでると水族館に行きたくなり、水族館から帰ると読みたくなる小説がありますのでご紹介します。イルカの生態などがよくわかるので水族館にいく前に読んでおくと、興味がいっそう湧いてきます。

水族館から帰ったら読みたい水族館ガール

もちろん繰り返しにはなりますが、海遊館ガイドブックをミュージアムショップで買うのもおすすめ。一周くるっと回っただけでは知ることができなかったものをゆっくり家で知れるのは、本当にありがたいです。



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