竹中道具館は建物自体が竹中工務店さんの技術で表現 大工道具を学ぶミュージアム訪問記 標準大工道具だけで179点!!の大工道具の世界

竹中道具館は神戸ハーブ園や北野異人館のある『新神戸駅』のごく近隣にあるミュージアムです。

竹中道具館に行くには?

竹中道具館は、新神戸駅に新幹線・神戸市営地下鉄・バス等を利用して到着し、降りたあと北野異人館とは逆方向の坂を上がってすぐ(徒歩2分ぐらい)です。

入館料は大人700円、大学生・高校生が500円、中学生以下は無料です。

月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始(12月29日〜1月3日)までは休館日ですのでご注意ください。

『竹中道具館』の建物自体が竹中工務店さんの技術で表現

数々の賞を受賞した美しい建築物

『竹中道具館』の外観を言葉でいうなら『和の大邸宅』を感じさせる静謐なイメージ。神戸異人館の古き良き洋風文化とはまた異なった世界を感じます。

数々の賞を受賞したという建築物は、入館への期待を高めます。竹中工務店さんといえば、高層ビルなど壮大な技術を展開されているゼネコンさんのイメージですが、考えてみたら江戸時代に『ゼネコン』は存在しませんね。

訪問後、竹中工務店さんのHPを調べて見ると、根本は『棟梁精神』と書かれているのをみて感じ入るものがありました。

竹中道具館へのアプローチ

標準大工道具だけで179点!!大工道具の世界

竹中道具館は受付と企画展のある1FからB1F・B2Fの3階構成となっています。

1F企画展 『切出小刀』(きりだしこがたな)2022年5月8日まで

カッターナイフの前身として様々な用途に使われていた切出小刀。

大工道具の世界では木材等をたとえば襖の敷居等『全国規格』で統一させる目的で厳密な定型が求められるものがあります。

対して、切り出し小刀は『自由な世界』。決まりがない分名工の技術や発想が活かされる道具とのことでした。すでに申し込み締め切りはおさっていますが、『切出小刀』を作ろうといった本格的なワークショップもされているようで、DIY等を含みこの形状から活用方法を想像できる方も多くいらっしゃるでしょう。

切出小刀

地下に降りる階段も技術!

各踏み板が宙に浮いているような雰囲気を醸し出す階段も溶接技術などが使われいるとのことで、この建物の中には展示物以外にも様々な技術が使われているようです。歩くと木材ならでは音がなったりして『何か違う?』を感じるのも楽しい時間です。

階段

地下1F で大工道具の歴史と種類を学ぶ

地下2Fに下りてすぐに見えるのは床に書かれた設計図。昔は建物のパーツの全体図をこのように地面に書いて、それで全体像を掴んだ上で、職人さんが自分のつくるパーツを理解して作成していました。

地面の絵がサイドは圧倒されるような建造物になる。もの作りの面白さを実感します。

床に書いたパーツの設計図

建物のパーツ

唐招提寺金堂組物の実物大模型

大工の基本道具は標準構成で176種類!もある

大工道具は素人イメージだと工具箱などを思い浮かべてしまい、特殊なものを除けば20から30種類ぐらいかなと思っていましたが、なんと標準編成第一形式は179点もあるそう。

第二形式という必要最小限でも72点というから驚きです。

道具の種類が多く必要な理由は、『強固な木組』と『精緻な仕上げ』。

この道具の使い方をマスターするのに何年の月日がかかるのでしょうかと思わせる迫力のある展示です。

大工道具の標準構成(176種類)

地下2F 名工の工房の様子や伝統美

職人の遊び心

地下2Fに下りるとまず目に入るのが。不思議な一升瓶です。

不思議な一升瓶

蓋が密封された一升瓶の真ん中に刺さった矢。鏃部分には継ぎ目もない矢でどうやって指したのか興味がわく遊び心のある品です。下のモニターで解説動画が閲覧できるのですが、なんとキーワードとなるのが『木の圧縮』。え、通せるぐらい圧縮できるの?と見入ってしまう動画を是非現地でご確認ください。

不思議な一升瓶ができるまでの動画

日本の伝統美

ひと目見るだけでその緻密な柄に目を奪われる組子細工の他、襖や蛍壁が展示されています。

蛍壁というのは土壁に鉄粉部分をつけて『錆』(さび)を利用し、蛍のように見立てるという風雅なものです。火灯窓(かとうまど)の炎型の形状と相まってより美しく感じます。

組子細工
火灯窓付蛍壁

上級の畳は中央部分の色が濃い!

展示されている畳ですが、中央部分に色の濃いラインがあります。このラインはいぐさの先端の色の濃い部分を左右からそれぞれ長さを合わせるように組み上げた上級のものだということです。いぐさの良い色と言われている長い部分ではない濃い色の部分を端に寄せて色むらとするのではなく、あえて綺麗なラインを描くように中央で合わせるというのが『贅沢』な作りです。

上級な畳

茶室のスケルトン模型

和の伝統を生かした茶室の内部の造りが見えるようスケルトン模型も展示されています。

茶室スケルトン模型

虫が中に入って木を食い荒らすのを防いただり、たわみを防止するために付けられた『蓋』など、細かな配慮が感じられます。

丸い蓋

名工『千代鶴是秀(ちよづるこれひで)』氏の鍛冶場

道具を使う人も、つくる人も一流という優雅な建築の世界。その道具の名工と言われる方の鍛冶場模型が地下2Fにあります。

この鍛冶場は広さが9尺×3間あることから『九三房』と名付けられているそう。

この見どころは作業場となるのに『綺麗』であること。無駄がなく、すっきりと置かれた道具類や磨きこまれた土間など、これほど綺麗な空間だからこその名工の作品なのかもしれません。

名工千代鶴是秀氏の工房

春・秋は限定公開もあり 中庭のお茶室

春・秋には予約制で中庭にあるお茶室も内部公開されているとのこと。残念ながら予約可能な時間にスケジュールが会わず観覧できませんでしたが、美しい中庭の様子は展示会場や休憩室の前からみることができました。

中庭 お茶室
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