細辻伊兵衛美術館の場所は?
京都市営地下鉄烏丸御池駅から徒歩3分。姉小路通をから室町通りを南に下ったところにあります。

入場券は手ぬぐい⁉︎
こちらの美術館、400年の由緒ある綿布商さんの美術館で、それ故に入場券は手ぬぐい。しかもシリアル番号付きで、半券付き。半券のように手ぬぐいの一部に切れ込みが入っていて、引き裂いて半券を切り取り入場します。切り込みから手で引き裂く様子を見られるのも入場のお楽しみの一つとなりそうです。
大人入場料は1,000円ですが、お土産に入場券の手ぬぐいをいただけるという仕組みです。
しかも、この手ぬぐい第十四世細辻伊兵衛さん(ご当主様)オリジナルの木綿生地『十四世』という生地で一般的な手ぬぐいより密な生地で、型友禅で染め抜かれている文字は『細辻伊兵衛美術館』。見入ってしまう個性的なものです。
写真は半券が切り取られた後、持ち帰ったものです。
ご案内ありの美術館
タイミングがあるのかもしれませんが、訪問した際に案内をつけることができます!と館内をご案内の方のおはなしを聞きながら廻る事ができました。
タイミングが合えば、理解深く見る事ができますので、是非ご案内をお願いしてみて下さい。所要時間は45分ぐらいでした。
1F 江戸から令和 歴代の手ぬぐいコレクション
十四世さんのアレンジ手ぬぐいは『かわいい!』の連続(平成から令和)
1Fの展示会場に入った瞬間。「かわいい!」を連発してしまう手ぬぐいが。
ベビーピンクに螺鈿箔で描かれたコロコロパンダ!
実物は鮮やかで螺鈿の輝きが吸い寄せられてしないそうなほど。必見です。
次のビッグアップルは、金のリンゴのうち一つが24金箔。写真ではわかりにくいのですが青の矢印が差しているもの。実物は24金の部分が突出してキラキラしてる様子が見られます。
こちらは手ぬぐいとして利用すると、傷だらけになってしまうこと必須(笑)の『おはようハリネズミ』3000本の針が使われています。
手ぬぐいがこんなに鮮やかで楽しいものだとまず認識できる。始まりの展示は、日頃手ぬぐいに馴染みのない人も興味が湧くものでした。手ぬぐいを額に入れて飾るのが流行っているのもわかります1
昭和の夏 手ぬぐいから文化を知る
手ぬぐいに描かれる夏の情景に昭和の良さを味わえる作品が多くあります。
また、2つの昭和一桁年代の作品対比の解説を聞いてなるほど面白い見方だなあと思ったことが一つ。
花火の『たまや〜』で見学をしているひとたちのシルエットを見ると男性は洋装、女性が和装が目立ちます。
対して、水着は。女性が洋装水着に対して男性はおそらくふんどし。男性のお洒落は『見えないところから』という時代ではないようです。
夏の京都といえば祗園祭以外に大文字焼きがあります。
この大文字焼き、大の字は2ヶ所ありますが、3筆目左大文字はなだらかに流れるのが、左大文字。最後がクキッと曲がるのが右大文字。その違いも手ぬぐいの作品ではかき分けられていました。
祗園祭
前祭(さきまつり)の山鉾巡行で見ることのできる先頭をいく長刀(なぎなた)鉾と神聖な稚児の様子、実物はなかなか混み合って見えないものだと思いますが、手ぬぐいで鮮やかに見ることができます。
稚児(ちご)は神聖な存在ですので山鉾巡行まで地に足をつけません。そのため、稚児には抱えてくれる強力(ごうりき)さんがついています。
長刀鉾はくじ取らずという、くじを引かずに必ず巡行の先頭をいく鉾、巡行の最後を務めるのは大船鉾です。
手ぬぐいに描かれた大船鉾の船首にいる鳥は想像上のもので金色の『鷁(げき)』というものです。
2F 永楽屋ご当主細辻伊兵衛氏の歴史と14mの長尺手ぬぐい『長刀鉾』
江戸後期 『縁起づくし絵』
この日に拝見したものの中で最も歴史あるものは、江戸時代後期の作品『縁起づくし絵』。
太鼓橋と富士、椿に雀図というおめでたい図柄のものです。
この手ぬぐいだけを見ても歴史を感じます。
この美術館のお名前となっている細辻伊兵衛氏がご当主様を務められる綿布商の屋号は『永楽屋』さん。この屋号の歴史はさらに遡り、始まりは1615年とのこと。更に更に1615年は綿布商としての始まりで、その前身は絹物商で織田信長公の御用達だったとか。
現在のご当主様が十四世、長い歴史を感じます。
新しい手ぬぐい文化
その十四世さんの新しい手ぬぐい文化も展示されています。その一つがこれ。長すぎて一部広げられてはいませんが、14m、本物の長刀鉾の長刀サイズと同じ長さの長刀手ぬぐいです。
実物も高過ぎて大きさがわかりませんが、近くて見るとこんなに長いものなのだあと実感できます。
しかもこの長刀の手ぬぐい大きいだけでなく、布地になることで曲線の美しさが加わっているように感じます。
十四世細辻伊兵衛氏は、サービス精神も旺盛な方のようで、織田信長公をイメージされたど派手な衣装で現れることもあるとか。
その希少な衣装も展示されていました。
2階は大きな作品も多く優雅な展示ですが、最後に飾られていたのは、入場券(手ぬぐい)に描かれていたこの美術館のロゴ。
アーティスト 『立花文穂』氏の作品とのことです。解読できた時の嬉しさも加わる味わいのあるロゴですね。
京都と日本の夏を充分に感じた1時間。夏の展示は8月末までとのこと。季節が変わるとガラリと展示も変わりそうで楽しみですね。