家電量販店の創業者の方が私財を投じてお城を建て、市に寄贈したというニュースを見て以来、ネタ的に小規模なお城を想像していました。
が、訪問してみると地域と歴史の理解のために現代技術を用いてわかりやすく表現されている立派なお城でしたので、その様子をご紹介します。
尼崎城の行き方は?
最寄り駅は阪神電車『尼崎駅』 JRの駅とは離れているため注意!
尼崎城があるのは阪神電車の『尼崎駅』。大阪梅田から約10分で到着する『ほぼ大阪』な兵庫県内にあります。大阪から神戸方面に向かう進行方向を見て左手海側を見ていると尼崎駅到着前に既にお城は見えています。そのため、駅さえ間違えなければ迷いません。
注意したいのは、『阪神電車』と『JR』の尼崎駅は約3Km離れていること。同じ尼崎駅ですが、徒歩30分離れています。
駅を出たら南東方向に徒歩4分 駅から見えています!
阪神尼崎駅の出口は西口を出て、出た方向(南側)を向いて、左手(東側)に向かって徒歩4分。ずっとお城は見えていますので、その方向に向かってください。
尼崎城をモチーフにしたマンホールの蓋
阪神尼崎駅からお城に向かう途中のマンホール蓋は以下のような尼崎城。
帰りは少し大回りして、大本山本興寺の付近を通ると別のタイプのマンホールの蓋も発見できました。
梅と尼崎城の組み合わせを(2022年2月末撮影)
梅林というほどの量はありませんが、お庭には梅が植えられていて、2月下旬に訪れると綺麗に咲いていました。梅とお城をいれた構図の写真は立ち入り可能区域の関係上、若干撮影が難しそうですので、お庭に足を踏み入れないように注意しつつ撮影を。
尼崎城外観 4層大天守と2種類の破風
浅いお堀は『平和な時代の寄贈の証』
尼崎駅方向からくると、全く敵の侵入を全く想定していないくるぶし程度の浅いお堀を見ながらお城の正面に進みます。浅いお堀が再建された現代の平和な日本のありがたみを象徴していて良いですね。
尼崎城天守を飾る破風
尼崎城の外観の屋根の層は4層。1番上と、3層目の柔らかに曲がった破風(はふ)は、『唐破風(からはふ)』・上から2層目の三角形のものは『千鳥破風(ちどりはふ)』と言います。
現代の家にも構造上必要な切り妻屋根の端などに、雨風から家を守るため壁よりも突き出した部分があり、それを破風と言います。ただ、お城では、破風とは天守を装飾する代表的な意匠の一つとなっています。
また、最上段の屋根の両端に取り付けられている鯱(しゃち)は『火除け』の意味合い、破風の真ん中上に取り付けられている鬼瓦は守り神とされています。
尼崎城当時の大きさは甲子園球場の3.5倍 幕府の重要拠点
もとの尼崎城が築城されたのは1617年。尼崎は江戸幕府直轄地となった大阪の西の守りとされた重要拠点とされました。
築城したのは譜代大名の戸田 氏鉄(うじがね)様です。
尼崎城は甲子園の3.5倍の広大なお城で、5万石の大名の居城ですが、重要視されていた尼崎の地域を守る拠点となっていました。
尼崎城址公園は、広い芝の遊びエリア
尼崎城の城址公園にはベンチのある広い芝エリアがあり、気候が良い季節、ここでただのんびりするのも良さそうです(紫外線を遮るものは皆無ですが)。
尼崎城の入城料は大人500円
尼崎城は1Fのお土産物、まちあるきエリアは入城無料、2F以上は有料入城で大人500円です(お手洗いは1Fのみで、2F以上再入場はできませんので注意)
尼崎城5F:わがまち展望ゾーン
有料エリアは上階から見るようになっているため5Fから紹介いたします。
尼崎は小規模版大阪のような街
大阪城も天守に登れば、都会の景色が見えるように、尼崎城も屋上が見えるのは都会の景色。タワーマンションや辛うじて風情を感じるのはレンガ造の旧阪神電鉄発電所ぐらいかと。あと、高速道路や駐車場など、展望する必要もないかなという景色が見えたりします。
西側には小さく寺町も見えるのですが、その付近に説明されている表示は『ボートレース尼崎』だったりします。経済を動かす街並みを学ぶには良いですが、お城からの展望となると、少し残念なところも。
タブレットを動かせば、その方向の江戸の街並を表示
ただ、各方向の窓にはタブレットが設置されていて、その設置方向と、ハンドルで動かした角度によって変化する江戸の街なみを見ることができる仕掛けがあります。
例えばこの駐車場ビューがタブレットの中の世界では?
下の写真のようになります(画像はタブレットを撮影したもの)
トリックアートも1箇所あり
5F展望台の中央には屋根に登って立っているようなトリックアート撮影スポットもあります。床側の屋根の角に立って撮影するための案内表示もありました。
尼崎城4F:ギャラリーゾーン
2022年2月は尼崎と海の関係について、展示がされていました。江戸の当時より上方の物流拠点として、また海産物を取り扱う拠点として重要な役割を果たしてきた様子が書かれています。
江戸時代当時の尼崎藩は、現在の尼崎市・宝塚市・西宮市・芦屋市・神戸市南部・伊丹市の一部・川西市・猪名川町の一部まで広がる藩でしたので、灘五郷を含む酒どころとしての重要拠点でもあり、当時は尼崎にも酒蔵がありました。
灘五郷のご紹介記事は甘党女性の酒蔵巡りとして記載しておりますのでよろしければご参照ください。なぜ、上方のお酒が洗練されているのかの答えがわかると思います。
くだらないの語源となったお酒のエピソード
その灘五郷や尼崎の酒蔵のお酒は船で江戸に下っていました。
上方の清酒はキリっとして洗練されたもの。『下り酒』と呼ばれて、江戸でもてはやされていました。
『上方のお酒は下る』その下るお酒の名前を汚す『下らない』ようなものは作れないという心意気から生まれた言葉が『くだらない』だそうです。
現在では灘五郷江戸に下るというハードルを軽々乗り越えて、全国どころか福寿さんのお酒はノーベル賞晩餐会で使われるなど世界に轟いていますね!
尼崎城3F:なりきり体験ゾーン
3Fはほぼ一面お座敷になっていて、無料で衣装を借りることができます。
設備が新しいため、綺麗なのも嬉しいところ。
小道具であるお食事セットを拝借しても撮影可能とのこと。良心的ですね。
尼崎城2F:尼崎城ゾーン(この階の時間配分多めに)
2Fは大充実のコンテンツエリアですので、2F見学時間を多めに配分しておくと良いと思います。
どんなときにどんな武器を使うのか その重さを体験
武器は、剣や槍、鉄砲と色々な種類がありますが、当時の方がどのような時にどの武器をどのように使ったかが解説されています。そして、現物を持ち上げて重さを体験できるのがここの特長となります。
目の前の的は刀
接近戦ではもちろん刀です。
相手の顔の見える距離では槍
織田信長公は6mもの槍を使われていたとのこと。実際には突くよりも、相手を叩いて使っていたとのこと。
少し離れると弓矢
少し離れると弓矢となります。矢はいくつも用意して、連続攻撃して使ったといいます。
離れると鉄砲
離れた場合にはもちろん鉄砲となります。ここで重さを体験できるのは火縄銃の重さとなっています。
鉄砲体験
ここでは、アトラクションとして鉄砲体験(ゲーム要素)もあります。
早撃ちやクイズに挑戦ができるようになっています。
剣術体験
剣術体験では模擬刀を持って、画像に現れるアイテムを切っていくアトラクションです。初級・中級・上級とレベルアップすると早切りスピードがアップするようです。
写真撮影スポット
原寸大シャチホコ
尼崎城の屋根に設置されているものと同じ大きさのシャチホコがあります。間に立って写真撮影ができるようになっています。
人文字『尼』
尼崎城の中のもじの『尼』の中のヒの部分になり切って、写真が取れるスポットもあります。座る部分がクッションになっているのもしっかりしていますね。
徳川家康との記念撮影
徳川家康の像前にも写真を撮ることを推奨されている吹き出しが。
歴代藩主家紋 スタンプコーナー
歴代の藩主の家紋スタンプが押せるようになっていて、1Fで取れるパンフレットの中にはその専用台紙もあります。1Fで『尼崎城楽しみ方ガイド』を受け取ってから周り始めると良いと思います。
VRシアター
大画面で約10分間、尼崎城や城下の文化を紹介する画像を見学できます。15分ごとにスタート時間が設けられていますが、出入り自由です。シアター内は撮影禁止です。
5Fから2Fまで綺麗なお城の中でこれだけ遊んで入城料500円は安いと思いませんか。
尼崎城1F:無料エリア 尼崎まちあるきゾーン
床一面にコンテンツが表示されているエリアです。コンテンツは街の様子や、歴史の成り立ち画像など時間ごとに切り替わります。また、大覚寺の住職さんが登城の際に使われていた籠(修復品)が展示されています。
お城ポストとシャチホコ丸ポスト
お城ポスト
お城ポストは尼崎城内1F入口に設けられたポストで、オリジナルの消印を押してこのポストから投函するとオリジナル消印の郵便が送れます。
シャチホコ丸ポスト
阪神尼崎駅と反対の方向に城址公園を出ると、シャチホコ丸ポストというポストがあります。シャチホコがここから出すお手紙を守ってくれるという祈りをこめたポストだそうです。行き帰りにぜひ合わせてご見学を。