神戸酒心館の私の訪問は2回目。
もう何年か前になりますが、社長様の講演を聞きに伺って、阪神大震災から立ち直り、世界を見てノーベル賞の晩餐会で採用されるまでに至ったお話と、その後にいただいた『大吟醸』の美味しさに感銘を受けての再訪です。
この講演を受けたことで、灘五郷を訪れるときにはいつも、震災後壊滅的な状況に思えた蔵と日本酒文化を再建されたという背景を感じて、感動を覚えます。
御影郷は広域
灘五郷のうち『御影郷』の見学できる酒蔵は広域に広がっています。東端は魚崎郷と隣接する『菊正宗さん』(駅は六甲ライナー南魚崎または阪神電鉄魚崎)、阪神電鉄住吉駅に近い『白鶴さん』、そして今回訪問した『酒心館さん』は阪神電鉄の石屋川駅から徒歩となっています。
いずれも、ふらりと酒蔵巡りを徒歩でする距離感というより、しっかり歩き旅となるためターゲットをある程度調べて行くのが得策かと思います。
下の写真の案内板で極近そうに見える菊正宗記念館と白鶴資料館の間は700m、しっかり酔いが覚める距離です。
魚崎郷と御影郷の間を巡った旅行記はこちら。(5000歩喫茶込み2時間半ルート)
福寿の蔵元『神戸酒心館』蔵見学予約と料亭『さかばやし』予約
私はこの日前日になって空き時間がわかって訪問したため、蔵見学予約(2日前まで)には間に合いませんでしたが、あらかじめ予定がわかっている人は予約しての見学ルートがあります。
予約なしの場合は、蔵元ショップ(物販店舗)手前スペースの展示と物販店舗内の試飲・後屋外の記念撮影ポイントの見学となります。
また併設されている料亭『さかばやし』は電話予約がベター。当日予約なしでも入れてくださるようですが、週末はかなり混み合っているので予約の隙間に空いたら連絡というような状況のようでした。
福寿の蔵元『神戸酒心館』へのルート
阪神電鉄石屋川を出て川沿いの石屋川公園を南下します。
(ルート途中)石屋川公園
石屋川に沿って細長く伸びる石屋川公園は春に訪れると、花壇に癒される散歩道となります。
この日はお祭りの本番ではなかったのかもしれませんが、駅から神戸酒心館に向かう道中祭囃子が聞こえ、途中蔵のようなところには地車が出されていました。
阪神高速が見えてきたところで右に曲がると神戸酒心館の看板が出ています。その看板に沿って角を曲がると酒蔵らしい趣きのある建物を眺める道には桜が。
福寿の蔵元 神戸酒心館
門構え
立派な門に、杉玉。新酒ができてしぼり始めたことを示す意味合いのある杉玉は、杉の葉を集めて球体状にしたものです。
門をくぐると、綺麗な花と大灯籠のあるお庭があり、正面の建物は予約制で入れる蔵(今回入れず)。左に行くと、物販店舗があり、右に行くと料亭さかばやしとなっています。
撮影スポット大樽
そして、門の方を振り返れば、写真スポットの大樽です。写真スポットでもありますが、若い女性に限らず、年配の男性もこの中に入ってソフトクリームを食べているシーンを見かけましたので、ソフトクリームスポットでもあるのかもしれません。私も料亭をでたらソフトクリーム!と頭に入れてからまずは蔵元ショップ『東明蔵』へ。
蔵元ショップ 東明蔵
蔵元ショップの建物の入り口付近には樽以外に酒作りVTRや用具を見ることのできる展示スペースがあります。菊正宗さんなどにある本格的な記念館ではなく、簡単なものですので、展示を中心に見られたい方は、蔵見学の予約をした方が良いかと思います。
そしてノーベル賞晩餐会のお酒を思い起こさせるブルーのボトルが並んでいるのを見て店舗へ。
店舗には蔵元らしいはかり売りのお酒もあって、試飲とその場でボトルに詰めてくれるサービスがあります。最上級の超特選大吟醸 雫おり酒は300mlで2,620円!高級ですね。
もちろん、市販されているお酒も純米吟醸から大吟醸雫酒(一本2万円を超えるお酒)までタイプも容量も充実したラインナップで販売しているため、決められない人(私たち)は、先に料亭さかばやしで飲み比べセットで試してからの購入も良いかと。
料亭 さかばやし
料亭さかばやしは、御膳と会席を提供されているお店です。お店の雰囲気は和の空間。満席でテーブルの空き席には全て予約札が立っている状態。(日曜日の12時30分ごろ)
お料理は2000円のそば膳から楽しめます。
私はお造りと魚一品料理が楽しめる『みかげ膳』(2,860円)を予約していました。次に来たときには粕汁も食べてみたいところです。
今回は父の日の贈答用のお酒を選ぶという目的もあって、飲み物は試飲重視。ありがたいことに『さかばやし』さんでは、きき酒セットが2種類あって、二人で頼むと6種類ものお酒が飲めます(一杯は50mlづつ)。
お酒メニューは裏側もあって、本当に充実。お酒が飲めないドライバーの方などにはノンアルコールのカクテルも種類が豊富でした。
そしてでてきたきき酒セットがこちら。
純米セット(1,480円)は右から純米大吟醸黒ラベル(720ml 5500円で物販店舗で販売されていたもの)・ノーベル賞晩餐会のお酒『純米吟醸』、左が生もと純米酒。精米具合の高い大吟醸から順に飲んでいくように言われます。
マイベストは大吟醸黒ラベルです。
見た目一緒ですが、こちらはきき酒セットの生酒セット(1,580円)。
このセットの良いところはなんと大吟醸が2種類の飲み比べができること。1番右側が火入れした大吟醸、真ん中が生酒の大吟醸、左が生酒の純米酒です。こちらも右側から順番にのむようにとのことです。そしてマイベストは1番右。生酒という言葉には惹かれましたが、王道の火入れした大吟醸。やはり、最高の甘味とスッキリ具合の調和。白桃や梨を思わせるというキャッチフレーズが実感できる味です。
みかげ膳はおばんざい4種類に、お造り、茶碗蒸しとお酒を飲みながらつまめる多品種が嬉しいお膳。そして、ごまと一緒に揚げられたサーモンの一品料理が、甘くて絶品。日本酒とのマリアージュを考えられているのか!と感じます。奇をてらうような料理はありませんが、じっくりじんわり味わう。酒蔵の料亭らしいお料理です。
締めは大樽の中で純米吟醸ソフトクリームを
食後は東明蔵に戻って、父の日の贈り物を買ったついで(という名目で)自分用の大吟醸も購入。自宅用の大吟醸は300mlサイズのものも売っていて1500円以下で買えてしまいます。合わせて買った酒まんじゅうはこし餡と薄味の皮が美味しい一品でこちらもおすすめです。
お土産と合わせてソフトクリームも。ソフトクリームは純米吟醸かプレミアムバニラかを選べます。当然!純米吟醸を選ばれる方がほとんどだと思いますが、この純米ソフトクリームはアルコール扱い。未成年の方やドライバーの方々はソフトクリームでの純米吟醸も諦めないといけないようです。
400円のソフトクリームは中までぎっしり。二人で1個でも良いぐらいの量です。純米吟醸ソフトクリームは甘味が少し抑えられていて、ほのかにお酒の風味で、年配の男性が大樽の中で食べられていたのも納得のお味でした。